グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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(魚釣島/尖閣諸島)がテロに会う3

 


大野はこの職に就いてからこの方、事件らしい事件にあったことがない。

2か月前まで、ここに勤務していた同僚の警官は、暴漢と乱闘して負傷し、入院中だ。

「おかしな男の人に追いかけられて」

気のせいだろ。早く帰れよ。今日の夜勤は、夜道で付けられたという女性がやってきた。対応するのが、面倒くさかった。

大野は、自分が交番のお巡りさんに向いていないことは分かっている。

だからといって刑事とか機動隊とかに入りたかったわけじゃないけど。白バイにも興味ないし。

女性警官と彼の2人が丁度交番にいた。

「綺麗な人は大変ですね」

女性警官が愛想を言って、女性と大野の顔を、交互に見た。だから何だ。

というか、大野は女が綺麗とか綺麗じゃないとかも、そもそもよくわからない。

女性は大変ですねとでも言えばいいのか。

女性警官が書類を持ってきて、女性に不審者に追いかけられた状況を書いてもらうまで、大野はバカみたいにボーと立っていた。

書類に記入している女性の長い髪が彼女の肩にサラサラかかり、それって邪魔じゃない?

そういえば、長髪の強盗をぶちのめしたことがあったな。そいつは男だったけど。

女性警官が対応の全てをこなし、最後に彼女を送って行った。

数か月後、大野は人事課に呼ばれた。

「君は交番勤務にはあまり向いていないみたいだね」

そりゃそうだ。意外性のない用事だった。

 

 

 

彼は右翼だった。

桜井の元には、これまでも、色々な人が寄ってきた。

右方面なら、自称警官から、本物の警察関係者 (らしきもの)まで、左方面なら、通りすがりざまにゴミ袋や動物の死骸を投げてくるとか。

しかし相手の身元は、素人の彼に確認する術はなかった。

今回の依頼は、中国側の漁船のような要領で、

私人として、尖閣諸島を視察しに行ってほしい、

小型漁船を提供し、警察から2人、ボディーガードにつけるということだった。

仮に桜井がメディアか何かに漏らした場合、それが日本国の依頼という証拠はなく、狂言とみなされるそうだ。

確かに、彼を慕ってくる人間に、自称警察官は多かった。

 


今年に入って尖閣周辺はにわかに騒がしかった。

中国は、アメリカのアジアからの撤退の機運を見抜き、

この東シナ海尖閣諸島で、南沙諸島で行ったような埋め立て工事と、軍事基地の設置を目論んでいた。


向こうに言わせれば、魚釣島という。

その魚釣りの小さな島々を、軍事基地に変えてしまうのだ。

タンカーや機材や工夫が、大量に出入りしているのが確認された。

日本政府は、側面から交渉を試みているが、全面戦争に突入するのは困るから、尖閣への武力攻撃で追い払うわけにもいかない。

アメリカがバックアップするという確約が得られていなかった。

 

 

自国の領土を一方的に埋め立てられている日本政府は、不法行為を繰り返す中国側と接触を取ろうと必死になっていた。

いきなり武力で追い払うのは難しいが、かといって何もしないのは、もちろん、沽券に係わる。沽券に係わるし、弱腰でいれば、政権も飛びかねない。

かといって軍拡を続ける大国中国に、正面玄関から抗議して、テレビカメラの前で、ガキの使いみたいに追い払われて帰ってくるのも、これまた沽券に係わると、外交関係者は頭を悩ましていた。

 

 

 

落ち着いたレストランの一角に、ひときわ容貌の整った人たちが集まるテーブルがあった。

身長は180センチ以上、テーブルの下はスーツに包まれた長い足が折りたたまれて、せまそうに収まっている。

人払いがしてあるので、有名人か何かと思った人々が、スマホのカメラを片手に寄ってくるというようなことはなかった。

「永友さんは、金と女、どっち取るって言ったらどっちですか?」
「何で」
「何でもです」
「お前酒臭いから嫌い」
「俺は永友さんにハニートラップ仕掛けてるんですよ」
「じゃあ、お前の体」
「いやいやいや、真面目な話」
「お前ら、飲みすぎだよ。それも、嫌な酔い方」
「どうしたんスか、三島さん、仕事辞めたいんスか」
「中国がそういうことやってきてるから、俺たちもやらなきゃなって」
「公安に移動したいんですか」
「したい」
「あそこはイケメンしか取らないですよ」
「あそこってどこ」
「必要な人に、必要なときに、ハニートラップかけたりするらしい」

 

仕事がハケたサラリーマンなら、職場のグチで盛り上がるかもしれない。

彼らの業務は機密事項が多く、お互いあまり話すことが無い。

それで彼らが飲むと、往々にして、変なノリが広がった。

彼らは一応、警察に採用されているが、広告代理店といっても、モデルの集団といっても、

何といっても通りそうな集団だった。

普段は何をしているのか不明な人たちだが、その分、何か用事があるときは何でもやらなくてはいけない。

20と21は翌日、北京へ飛ばされていた。