グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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ミノス・ジェライス6

 

 


アルベルトは英語が下手ではないし、川田も旅慣れていた。双方、語彙は少ないが、意思疎通に支障がない。

川田は、リュックに入れた拳銃と札束に、奇妙な重みを感じる。このボロいリュックを狙う不心得者が大勢いて、だからコスいボディガードを雇った、この状況。

理論的には、いつだって人を撃てるが、この拳銃に手を伸ばした瞬間に私は撃たれる。それを知ってて拳銃を渡した、アルベルトの余裕、プロの用心棒だ。

「日本人の砂金掘りっている?」

「俺はチノと日本人の区別がつかないよ。

チノなのに日本人だっていう奴もいるし、日本人なのにチノだって言う奴もいる。

日本人の方が丁寧に扱われるけど、逆に金を狙われるのは日本人だから」

「そうかな、最近は中国人の方がお金持ちだよ。中国は、GDPが2位、日本は3位だよ」

「中国人で、こういうところに来る奴は、本当に貧乏だよ。立ションとか野グソするような奴もいる。エリート・ビジネスマンは別だけど。

チノのビネスマンはヤバイくらい有能だよ。交渉もやり辛い、って他の奴が言ってた。

俺はお前みたいな貧乏臭い奴が担当だから、エリートのことは良く知らないが」

「中国の貧乏人は、密航なの」

「分からない。雇用主が見つかれば、ビザは出るかもしれないけど、

貧乏なチノに、そんな技能はないから、密航で、タダ同然で使われるんじゃないか。

俺はこんなブラジルくんだりに来るチノの気持ちは分からない。

貧乏なチノは、地球儀を知らないのかもしれない。

アメリカと間違えて、ブラジルに着いたのかも知れない」

「ブラジル人はそこまで働かないから、中国人は貴重だよ。アルベルトみたいな働き者には、失礼だけど。

中国人は昔からそういうことしてるよ。アメリカでクーリーやって鉄道敷いたり、アフリカいって鉄道敷いたり。現地人のしないヨゴレ仕事をして、のし上がってく」

「日本人は、外に出ないのか」

「高度経済成長時代の、余り金が残ってるから、今のところはヒキコモリ。この先は知らないよ」

「高度経済成長時代かよ。ハハハ、景気の良い話だな」

ミノスジェライスも成長した。ただそれは、宝石が出たっていうだけ。宝石もクソも、出なくなればスカンピンだった。一方、ハナから宝石もクソも無い日本人がガツガツ働いていたのは事実だ。

ただ、どちらも余剰を活用して技術を前に進め、人々の生活を何とか維持していかなくてはいけない。

 


リオグランデは、ブラジルの役人を、2人、借りた。

リオグランデの借りたディスパッチャーは当たりだったらしい。容易に役所に食い込んだ。突撃、1回目にして。

普通、現地の役所が、そう簡単に海外の新興企業に、プロジェクトなんかに、噛ませるものかどうか。何だコレ、ブラジルの役人は暇なのか。

ジャップ企業から金をムシれという指令でも出てるのか。

「ブラジルは人種が融和してますが、それと犯罪率との相関性は不明です。

そういうことを、研究して、アメリカなんかと提携も考えています。

ただ、アメリカはゲイテット・コミュニティだし、ブラジルも階級ごとに居住区が分かれています。当たり前ですが。

麻薬を売っている人の隣に、貴族が住むわけにはいかないから」

「あんまり異民族が、同じ地区に住むと、良くないよ。ブラジルほど混血の進まないアメリカの方が、犯罪率はマシだ」

人種のるつぼにおける、貴賤差別。それって人種差別の肯定なのか、何なのか。カラードの役人1は中立、白人の役人2は、人種差別主義者か。ブラジルの役人にはいろんな奴がいるらしい。

「犯罪多発か人種差別か、ってことですか。それって、かなり絶望的な見解だけど、

どこかに実証データとか、有名人が言ったとか、あるのですか」

「そんなことは言ってないよ。レイシストのヘタレが、いかにも言いそうだけど」

役人1(カラード)は憤慨した。

「ポリコレ棒で殴られるから言わないだけで、彼らって、絶対そう思ってるよ。カラードは猿だって。レイシストのヘタレは、頭が悪いから逆ギレしてるんだ。

本当に黒人のIQが全員80で、白人のIQが全員120だったら良いよ。だけど現実には、個体差の方が大きい。

犯罪する白人とか、勉強のできる黒人とか。俺はそういう奴を腐るほど見てきた。ブッシュやオバマが良い例だ」

「それは白人の俺のIQが80で、ムラートのあんたのIQが120だってことかい」

「そうかもしれないな、アンタがそう思うなら」

ブラ公は、見解に相違があっても、決定的な論争にはならないらしい。落としどころが分かっているのか、マジになるのが面倒臭いのか。

犯罪率の高さは必ずしも人種差別じゃない。金の奪い合いとか、下らないことだ。