グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

ミノス・ジェライス7

 


役人たちが、帰ると、エンジニア1はため息をついた。

「大分、話がややこしくなってませんか。コレ。

元は、治安の悪いブラジルに、家にいても友達とコミュケーションを取れるネットサービスを提供しようっていう話だったでしょう」

「犯罪率の改善か。日本は気が付いたら、犯罪率が少なかった、

焼け野原の野蛮人が洗練されたのは、事実だが、生活が豊かになっただけだ。俺達は犯罪率をコントロールする決定的な理由なんて知らない」

エンジニア1はドメな仕事しか知らない。何なの、この変なスケール。

言うだけ言ってみよう、無茶は現場へ押し付けよう。役人の体質は変わらなかった。日本だって、ブラジルだって役人は役人だ。

デスマーチの軍靴の音が聞こえる。

「犯罪率を下げるくらい、お任せくださいって言った、エンジニア2のせいだよ」

エンジニア2は、いつも営業を兼ねていたし、

客の要求が、どれだけ理不尽か身に染みていたから、ハッタリをかますのに慣れていた。

デスマーチで消耗する技術者たちを守る為、客のプログラミングへの無理解から、変な仕様をゴリオシされて、後から逆ギレされない為。

この場合は、それがライバルを押しのける為の、大言壮語だっただけだ。

「仕方ない。ネットサービス程度じゃ、足元見られてお終いですよ。そんなの提供してるところ、世界中、腐るほどあるんだから」

「例えば、残虐なネットゲームは、犯罪率を下げますか。

こんな宣伝文句があります。人を殺すと刑務所に100年くらい込みます。うちのゲームはタダ!1000人以上を殺せる、恍惚の殺戮ゲーム」

「人生辞めますか。ウチのゲームやりますか」

「それは、犯罪傾向を持った人への対策だよ。

ブラジルの犯罪っていうのは、そういうサイコパスが起こすのではないと思う。先進国の白人の犯罪とは違う。

貧困がベースにあるし、銃の氾濫が拍車をかけてる」

「だったら、あの役人たちの力を借りないと無理ですよ。例えば、銃を登録制にするとか、生活保護をネットワークで管理するとか」

「ブラジルの州のほとんどは、生活保護するほど収入がないでしょう」

「役人さんに、地元の資産家を口説いて下さいって言いますか」

「例えば主流のサービスがあって、そこにタダで広告を打つ。それと引き換えに、事前事業をしてもらう、とか。広告費の代わりに」

無理やり、変なインターネットサービスに結びつけた。だって俺たちは、インターネットのサービス提供屋じゃん。

「グーグル以外の何かか?」

「グーグルか。まずニッチを狙い、ウチのサービスを主流にするのが先決ですね。何のサービスなんだか、分からないのが痛いですが」

この日本のインターネット企業の分社、リオ・グランデは、当初は、ブラジルの高い犯罪率を前提にした宅配とか、コミュニティ・サービスとか、そういうのを想定したのだ。

だが、許認可を持つブラジルの役所からは、犯罪率を下げるサービス自体を提供しろと言われた。

コンレプトを変えなくてはいけない。難題蓄積だ。

 

 

 

 

一応SNS方面もチェックしているが、須藤は休日、そこで見つけた資産運用の勉強会みたいのに出た。

正体不明のセミナーだ。そこには、資産家が雲霞のごとく涌いているかもしれないし、ただの株ニートがクダを撒いているだけかもしれない。

中途採用の焦り。スタートが遅れたら、スパートをかけるしかない。

セミナーとかこの手の類は、この先、何が儲かるかとか、経済理論とか、百花繚乱だった。素人には判定不明だった。

コレが儲かります、アレが秘訣です。

それは、有名人、又はスゴイ実績の持ち主が言えば、拡散力を持ち、そうでなければ、詐欺師の戯言だ。

須藤の某証券会社の名刺に書かれた役職は、ヒラの営業。2ペアほどの威力も無かった。これだったら業界内では足元を見られて、顔の方がボーナスが高いのは、何となく自分でも察知できた。

スーツの男が、須道の隣に座ろうとした、私服の男を、突き飛ばした。

突き飛ばされた中年男性は、身なりの良い退職後の紳士と言う感じ。

スーツの男は35歳くらいか。空いた席にドカッと座り「よろしくお願いします」といって、須藤に名刺を出してきた。

紳士がその手を掴み、椅子から立たせた。

スーツは名刺を持ったまま、腕をねじりあげられ、何するんだよ、と声を荒げ、人々の視線が集まった。

見た目の派手な須藤には、幼少期から見慣れた光景だ。どうしようか。放置しておいたら、どうなるの、コレ。