グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ご用件ははninjaid2000@gmail.com規約はGmaiにl準じます

ミノス・ジェライス8

 


川田とアルベルトは、安宿に入った。不潔ではないが、擦り切れた毛布。南京虫は出ないし、ドアに鍵もついていた。

温水のシャワーも使えた。アルベルトが現地人に適当に聞き込みをして、ここは悪くないよ、と教えてくれたところだ。

こういうのが、現地の人を雇うことの利点だ。

バックパッカーが1人で勘で、こういう安宿に入ると、水しか出ないシャワー、水すら出ないシャワー、汚れたベットが南京虫天国、ってことはよくあった。

「この宿は、そんなに安くないよ。部屋代を節約するか。あんた、俺と同じ部屋にして、俺のベットに入るか」

「何か、アンタが言うと、あんまり胡散臭くないのが良いね。客に、いつもそんなこと、言ってるの」

「一応。相手が、良い奴とか、可愛いと思ったときは言ってるよ。それがブラ公の流儀だよ」

川田はアルベルトのことを、気心が良くてイイ男だと思っていたが、

彼がそういう川田の心のスキをついて、金塊を持って逃げる確率も捨てられない。

川田はアルベルトの申し出を辞退して、部屋を分けた。

また金が減ってしまう。仕方ない。部屋に鍵を掛けて、札束の入ったリュックを布団の下に隠す。

いろいろ世知辛い

旅行先でイケメンにホイホイついて行くのは、日本でイケメンにホイホイついて行くより致命的だ。

異性に自制心の無い奴は、バックパッカーには向かない。

 

 

 

 

 


金融のセミナーに集まる、株ニートや資産家は、自己中心的な人種だった。

金持ち同士の喧嘩なんて、勃発した暁には、煽りはしろ、止めはしない。諍いを始めた須道の周りの2人に、好奇の目が集まった。

このセミナーの参加者は、互いに知り合いではないから、どうしても仲良くしないといけない動機がなかった。

当室のレアギャル、須道の隣の席を争った2人は、殴り合い寸前だった。

「何やってるの、姫」

茫然と彼らを見上げていた須藤は、女性から手を引かれて、椅子から半立ちになった。

レオがニヤニヤしながら、須道を見ていた。なんていう邂逅。エリートの旧友が、こんなところに来るほど困っていたとは。

というか、レオが来てるくらいなら、このセミナーは当たり?須道の心に灯がともった。

2人は、この騒ぎが収まるまで、廊下へ退散した。

須藤はレオの名刺をまじまじと見た、

主任研究員とか書いてある。これ、出世した初老のオッサンとかの肩書きじゃないの。そうでもないか。

あと、MBA取って帰ってきた若造とか、霞が関のリタイア組とか。

名刺交換なんかしなければよかった。

レオとは別に見栄を張りあう仲じゃないから、良いんだけど、あからさまな格差が悲しい。同じゼミの卒業生。

 

 

 

 

適当なモノを売りつけるのは、中途半端にプライドの高いリオグランデのエンジニアたちの性に合わないし、

それでは、シリコンバレーの落ち武者には勝てない。ココは、日本ブランドの正念場だ。

エンジニア2(営業)は、ブラジルの犯罪率を下げる検討の結果を、役人連中に正直申告をした。

「犯罪は、現場の要因の方が高いと思います。貧困を抑えたり、重火器を回収したり」

「それなら、あんたの言った、東アジアの進歩の要因は、何、なのかね」

「日本の場合は単一民族で、争いの経験が少なかったこと。経済成長で生活が洗練されたこと。

中国は、やはり経済発展による洗練と、強烈な上昇志向です。

中国人として恥をかきたくない、世界中から尊敬されたいと、渇望しています。

4000年綿々と続いた大帝国が、近現代に、あまりに落ちぶれましたから。

それから独裁政府の犯罪の取り締まりは厳しい。ただ、汚職は野放しですが」

エンジニア2(営業)の講釈は、半分くらいしかブラジルの役人(白人)の頭に入らなかった。

ブラ公のほとんどは、地球の裏側の歴史なんか疎い。その地球の裏側の日本人が、南米の歴史を知らないのと同じで。

だけど、後発国がどうキャッチアップするかは、彼らの課題だ。聞いて損な話でもない。

「それなら、インターネットで犯罪低下が図れるのは、嘘じゃないか」

「そんなことないですよ。まずコミュニティ・サイトをいくつか作ります。

ヘイトスピーチを削除したり、ヤラセで、ブラジル人同士、仲良くしよう。

世界に恥をさらさないようにして、企業と観光客を呼び込み、豊かになろう。

みたいな空気を醸成して、世論を荒らさないようにするのは、どこもやってます。

大抵の場合、当局の都合の良い方向に誘導する為に、その手の工作は使われますが」

「世論誘導か。選挙になれば、金を使ってそういうことをやる候補はいるよ。俺たちのところにも、そういう話は回ってくるよ」

ブラジルの役人(カラード)は頷いた。

「当社に、インターネット上のコミュテニィの運営を、許可してください。

ブラジルの人を、多く雇います。雇用対策にもなります」

エンジニア2(営業)の吹かしに、役人連中は、「フーン」と言う顔をした。

脈はアリか、ナシか。