グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

ミノス・ジェライス13

 


川田は送金屋にもアルベルトにも、感心した。リアルなビジネスの現場。

そういうことに絡みたかったから、砂金掘りなんて成功率の低いスポットに手を出したのかもしれない。

日本に無い新しい経験を求めて、海外をフラついている時期はもう過ぎた。

川田が大学で経済を学んだ意味は何か。

さっき日本の口座へ送金した、金は何年持つのか。就職はどうするか。この送金屋、何か面白い職でも紹介してくれないか。

ミノス・ジェライスは、景気が良いのか、悪いのか。あの鉱山からずっとつけてきた汚い格好の人々、殺気立った目を思うと、良くは無いだろう。

だけど、アルベルトみたいな用心棒にとっては、良い市場だ。

彼はきっと大金持ちに違いない。これだけボルのだから。富豪にビジネスのコツを聞いて見よう。

「ミノス・ジェライスに、アルベルトみたいな用心棒はたくさんいるの」

「良い用心棒はそんなにいない、と思う。泥棒と区別がつかないし、俺よりボル奴もいるよ」

お前よりボルのかよ。失業した自衛隊員でも連れてきて、傭兵会社でも作ったらどうか。

が、ガタイが良くて仕事が無い奴がゴロゴロしているのが途上国だ。

訓練されているか、されていないかの違いしかない。供給過剰か。

日本人はヒョロい人が多いが、性質的には良い用心棒だろう。客をボラないし、真面目だ。

だが、海外で用心棒なんて、穏やかじゃない。

よほど上手くしないと、就労ビザは取れない。観光客として入り、用心棒として稼ぐ、ワーキング・ホリデーみたいな手口もありかもしれない。

いずれにせよ、かえって現地の用心棒連中に恨まれるか。昔の日米貿易摩擦みたいに、現地人の稼ぎ口を奪ったと非難されたり。

川田は目の前のガタイの良い男を見つめた。このアイデアを、目の前のアルベルトに当ててみたら、どういう顔をするだろうか。

バーターで、日本から客になる金塊掘りを誘致したり。日本人の客は大人しく、金をケチってモメたりしない。

相手が底なし沼のヤクザだったら駄目だが、誠実な人を相手に商売をやるのは得意だった。

この不況下で、一山当てたい人は、腐るほどいた。

でも、金塊を掘っても出なかったら、どう責任取るか。外務省の棄民政策と、似てしまう。

だが、かつて外務省の棄民政策が、サンパウロ日系人街の繁栄を生んだ。

つーか何で脳内が人身売買業者みたいになってんの。

川田はアルベルトから目を逸らし、送金屋の連中を見た。

この送金屋が、過去の、ブラジル移民の話なんかするからだ。

入り口のドアが開き、オフィスに、ヒョロイ日本人の集団が入ってきた。