グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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ミノス・ジェライス14

 


「犯罪率を下げる為に、日本の傭兵を用心棒にする。ハハハハハ。あり得ないですけど。それは国の威信が掛かってます。

何処も警備と軍事を他国に抑えられるのは、自尊心を損ねます。日本の傭兵がどれだけ羊で、悪意がなかったとしても、です。

南米があまりに犯罪が多くて、用心棒の人手が足りないんだったら、ブラジルの役所の指揮下に入って、出稼ぎとかはあるかもしれない。

当局同士が、何らかの協定を結みます。

ただ、原因は人手不足ではないです。警官を雇う金がないんでしょう、ブラジルに荒くれ男はゴロゴロしているし」

「例えばアメリカ国民に銃を手放せと言うのは不可能です。アメリカの銃携帯は開拓者魂辺りからくる、イデオロギーです。だから刀狩とか言っても、通用しない。

その辺が、南米ではどういう経緯なのか、分からない。

軍事政権時代に、どこからから重火器が横流しされて、それがダブついて庶民の間に出回っているだけかもしれない」

「アルベルトさんは、用心棒に、当局の許可は要ったんですか」

「そんなの無いよ。適当だよ。そんなことを取り締まるような人手はないし、

現地を治安の悪化から守っているから、文句は付かないと思う。日本人でも良いかもしれないよ」

「日本人は交渉とか下手ですよ。任務を真面目にこなすのは上手いと思うけど。

私は日本のバックパッカー志願者を、たくさん知ってます。

こういうところには、いきなり撃たれるのが怖くて、来れないだけ。

用心棒を紹介し、そういう羊民族を呼んで、現地に小金を落とすことは可能です」

3階の送金屋のオフィスに漂う、謎の連帯感。金儲けの予感は、いつでも人々を結びつけた。

そして話が斜め上に飛んでいて、詐欺臭ければ詐欺臭いほど盛り上がる。

 

 

 

金払いの良い日本人は、良客だ。アルベルトは観光ビザを取り、営業がてらに、川田の帰国へ、ついて行った。

そこには、金融屋っていう、未知の人種がいた。

金融屋って、アレだろう、ブラジルみたいな途上国を投機の対象にし、ハイパーインフレを起こしたりする、チンカス連中だ。

が、こいつは客かもしれない、どうするべきか。

アルベルトは、金融屋への不信感を、遠回しに表現してみた。

「その手の投機をやったのは、日本人ではありません。日本人はその手の手品は、出来ないです。欧米と違って、情報網も軍事力も無いです。

どちらかというと、やられっぱなしです。製造業で頑張って、何とか外貨を稼いできた感じです」

「アルベルトさんって、用心棒仲間とかいないんですか」

アルベルトは体1つで野放図に生きてるだけじゃない。将来展望だって欲しかった。

用心棒なんて、爺さんになったら商売あがったりだ。

荒稼ぎをして金は貯めているが、地元はハイパーインフレで何度か紙屑になる地域だ。

「いないことは無いけど。警察にコネとかは無いよ」

「俺は南米、行ってみたいです。馬鹿みたいですが、斜陽のオフィスで働くのに飽きてきました。

日本人は、金融技術を、真面目にやる気が薄いんです。金が金を生む錬金術は、邪道だという反動が、いつも爺連中から飛んできます。

資産を、金余りの人から、貧しい人へ流せば、好循環が生まれるのに。投資や金融工学は、その技術の洗練です。

金融は、タイミングが大事です。今、金がなければ、病気の子供が死んでしまう。

資産家が金を貯めておくと、盗人に取られてしまう。その双方を救えるのが、金融です」

こんなの、会社の人には言えなかった。部外者には素直に話が出来た。相手は変なスキームなんか無い、純粋に金の必要性を知っている貧しい人々だ。

金融屋のオッサンは、今度は、リオグランデのエンジニアたちの方を向いて話した。

経団連は、物作り帝国の独占です。やれ人を増やせ、物を売れ、原始人みたいな政策しか取られない。

ベーアノミクスが長く人気をキープしたのは、故なきことじゃない。

安政策で製造業のご機嫌を取って、金融政策で株式市場を盛り上げた。今や日本株に投資してる半分が、官の金だっていう噂もあります」

アルベルトは、川田の顔を見た。コイツラ、俺のこと無視しやがって。このスカしたジャップ連中に、何か言ってくれよ。金融屋はクソだ。

だが、川田には、彼らの話が分かっている。そういう顔をしていた。

小卒のブラ公は、こういう時には辛い。体一本で生きていくのも、悪くは無い。

が、貧しい地域を救ったり、そういう大きなことはできない。いつ死ぬか分からないから、家族も持たないし、女とは長続きしない。