グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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日本の終わりとハードボイルド・ワンダーランド7

 

 

村ではいつも何かが都合が悪かった。

例えば、雨が降り過ぎる。辺りが水浸しになり、憂鬱な日々が続く。

別のときは、晴れの日が続きすぎて、地面がひび割れて、やっぱり乾いた憂鬱な気分になる。


ある日の俺たちは、秋の寒空の元、

全員朝の4時ころから村の中央へ集められた。

悪天候で、作物が枯れたのである。

神の怒りを鎮める為と称して、

一週間祈り通した。

その間は、何も食べてはいけなかった。額づいた土の臭いで空腹は紛れない。

食べようと思っても、食糧が尽きていたから、それで、空腹を紛らわす何かが必要なのだろう。統治論的に言えば。

 

村長が作業鎌を持ってきて、

今思えば凶作で村長の立場が危うくなって絶望したのかもしれないが、

自分の腹を切りつけて数日後にその傷が元で亡くなった。

人々はおろおろし、子供は怖がって泣いた。

彼が切腹して大量のが血を流した場所は、広いあぜ道のようなところだったが、そのまま村人たちに踏み固められて、墓すら立っていない。

そういうのをいちいち気にしていると、人の命が高くなる。

貧しい村で人は、よく死ぬし、いちいち気にしてはいけない。それが彼らの考え方だ。

今は気象衛星で天候予測をしていて、地上に送信され、天候不順はコントロールできないことはない。天候自体はどうにもできないが、対策が取れる。

当時、強制的に連れてきた村民の逃亡防止で、GPSや携帯電話のネットワークを全てシャットダウンした為に、村内では、そういう情報を受け取れないようになっていた。

 

 


世の中に、数えきれないほどの、学校や勤め先や同好会があって、

出会う人、出会う人、全てが

誰かと誰かが、つながって、何かの陰謀を企てていると思うのは、

ちょっと、変質狂的なんじゃー、ないの。お前はNSAか?

ムカイの名前は、インターネット上で特に爆発的に増えているわけでもなかった。

ムカイ俺は昨日出会ったオタさんを信頼していない、当たり前だけど。

一回会ったけだし、互いに素性も明かしていない。

例えば彼はパパラッチで、俺の顔写真を隠し撮りして載せるとか。

そういうことはなさそうなので、安心して、

ついでに、小酒井さんや牧野さんの名前で検索したりした。

いや、こういうのがいけないんだ。

既にほとんど関わり合いの無い他人の過去や未来に、過剰な関心を持つのは、危険領域に入っている。

俺は今、ここの会社でこうして働いているんだ。昔の職場なんて関係ない。

小酒井さんのフェイスブックも見つけた。

彼は相変わらずのイケメンだが、傍らには当時いなかった妻と子供の姿がある。

出来る男はいつでもどこでも成功する、という見本のような人だ。

俺だってできない男じゃない。でも、それを証明するには、どうやって?

ムカイは検索を打ち切った。

今日の社内は騒がしかった。ムカイが一年前から勤めている会社。

そのサイバーノート社を攻撃するという匿名の宣言文がネットに出回ったからだ。