グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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日本の終わりとハードボイルド・ワンダーランド21

 


他のエンジニアは会社のシステムを調べていて、ムカイが一応、仕事があるかと聞いたら、無いと言われた。ムカイは営業だ。

俺は、会社の近くのファミレスでオタさんと会った後、新幹線と電車を乗り継ぎ、皆川村へ行った。

ついでに、入札が予定されている近畿地方にも行くつもりだ。

当時は社用車で乗り付けた皆川村だが、交通機関を使うと、思ったほど遠くなかった。

村へ入ると、俺は人々に見られた。

元々村娘を売るほど貧しかった皆川村は毒鍋事件で散開し、そのあとに女性たちが入植していた。

モンペ、作業服、キディちゃんのキグルミ、いろいろなのがいた。彼女たちが畑仕事をする傍ら、子供が何人か遊んでいた。


「ここは女性だけなんですか」

「男、いないことは無いよ。呼んでくる?」

「いえ、いいんですけど。やっぱりイケメンなんですか」

「ここはイケメンしか入れない」

俺はポニーテールの女性に、ペットボトルのお茶を貰った。近くに自動販売機があると、彼女は言った。

しばらくすると、民家から、男が出てきた。そんなにイケメンって感じじゃない。俺が言うなって感じだけど。

「誰の彼氏ですか?」

「それが分からないのよ。変な奴じゃないからOKなんだけど。アンタは、誰の彼氏なの?」

「俺は5年ほど前に、ここに来たことがあるんです。それで懐かしくて寄ったんです」

「毒鍋事件の頃?」

「そうです、俺は容疑者で週刊誌に載ってました。モザイク付きで」

「へえ。じゃあ、みんな、あんたのことを、知っているかもしれない。

この村に皆川村毒鍋事件の資料館みたいになってる人の家があるから。そいつは毒鍋事件のマニアなんだよ。

それで、たまにあんたみたいのが来て、当時について聞かせて下さいっていいに来る」

「そういえば、あのとき、あんたに、パンツに札束突っ込まれた子がいるよ」

背筋に汗が流れた。

俺はその人に合わせてもらうことにした。

彼女は呼ばれると、畑から出てきた。日に焼けて、泥のついたポケモンのキグルミの腕をまくっている。

綺麗な人だった。俺は少し泣きそうになった。

「失礼なことをして、すみませんでした」

「でも私はあのお金で、都会まで電車に乗ったのよ。あそこから逃げる為に。それで、住込みのアルバイトを探したの」

「それで失業したときに、ここへ戻ってきたのよね。そのときはもう、私たちがココを開拓していたから」

 

 

 


「あなたでしょう、与沢さんにストーカーしてるって」

イエレンの背後に、地味な顔つきの男が立っていた。ただでさえ目の細いアジア人だが、彼の目は特に細い。

イエレンは皆川村毒鍋事件に関するあらゆることを、公開情報で分からないことは、加えて、とある日本の興信所のチームで調べていた。

イエレンは、金村のことを知らなかった。

「事実関係が逆じゃないですか。ストーカーされてるのはこっちです」

「私が与沢のアジト、アジトっていうのは笑っちゃうけど、まあ、あれはアジトとしか表現のしようがないよね。
そのアジトを知っているっていったら、一緒に来ますか」

金村は陰気な男だった。抑揚のない声、ハッキリとこっちの目を見ない。

「私たちを、おびき寄せて殺すとかですか」
「今、彼は韓国です。知ってるでしょう、

半島統一大会、とかいう噴飯のイベントに出ているんですよ。ほとんどの人は出払ってます」

「でもあなたは、与沢さんの、お友達」
「お友達ですが、言ってみれば、裏切り者です」

金村の細い目がますます細くなる。イエレンはまだ疑心暗義だった。

「与沢さんは怖そうですよ。そういう人を許すんですか」

「私は一応、捜査機関の者ですから。それは、彼も知ってます。

たまに警察情報を渡したりして、与沢さんを補佐していたんです。

ただ彼は、暴走しそうじゃないですか。だから警察は彼を泳がせているけど、

例えば、今日みたいに、半島に触手を伸ばしに行くのは、眉をひそめています。

まあ、そういう議員は沢山いますが、触手を伸ばすのみならず、面倒事を持ち込みそうだからです。

万が一、日本列島から北朝鮮までが、統一したら、日本の警察機構は大混乱に陥りますから」

 


「コレは、この建物からですよ」

特殊な衛星写真を見せながら、中島は言った。

侵入経路の推定は、回線を提供している会社に記録の残っている発信地とか、

ウイルスの種類とか、いろいろなことを総合するらしいが、サイバーノートのエンジニアたちは、そういう仕事は生業にしていないので意味が分からない。

「それを、正式な警察の捜査に入れてもらうには」

「まあ、無理でしょうね。今の警察は、真実が通る組織じゃないです」

「社長、与沢のアジトって興味ありますか?」

イエレンがコンピュタールームに顔を出した。

与沢のアジト?このハッキングの発信元のやつか?

「与沢は、今、出払ってるんです。見てみませんか。

あそこは面白いシステムとかありますし。彼らは後2日くらいは日本に帰ってきませんから」

エンジニアとイエレン、金村たちは、社用車や自分の車に便乗して、議員1の使っていた建物へ向かった。長いロールスロイスが、小さなビルから突き出ている。

金村は車から銃を持ち出していて、エンジニアたちは目が点になった。

金村はレーザービームみたいなもので、ビルに天井にある、いくつかの監視カメラを撃った。

おまけに、小さな針金を使って、裏口の鍵を開けた。