グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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The Apprentice21 11


「テロや震災で儲かったことのある人って、いますか」

「いないわけないんじゃないですか。Aという一帯にテロ予告があったら、その辺は一応売っておくだろう。

Aという土地の住人が、ものすごい剛腕で、テロを阻止して民衆から英雄として崇められて、株価が上がる、みたいなケースを想定しない限り」

「日本のパトロンの悪口言っちゃダメでしょう」

「あれパトロンじゃないから。高いショバ代を要求してくる用心棒」

「だけど、日本のモノをずっと買ってくれてたでしょ。アメリカを走ってる車の半分くらいは日本車ですよ」

「テロ予告は、実現確率低いじゃないですか。

地元警察が、全力で対策するんですよ。どうやって爆弾置くんですか。場所を指定したテロは、まず起きないです。

何の予兆もなく、いきなりテロが起こって、巻き込まれた企業や土地の価格が暴落し、慌てふためくことになるだけです」

「だけどNSAとかが、テロリスト同士の交信を傍受して、あそこでテロがあるよ、なんてことを漏らすケースがあるじゃないですか」

「そんなインサイダー取引をする人がいたら、史上に消えない汚点を残し、三賊皆殺しみたいな勢いで憎まれますよ。そこまでの、モラル崩壊は想定しにくいです」

「株でも儲かった人のデータは当局にあると思います。誰がどの株を取り引きしたか。

テロで儲けた人を調べたら全員NSAだった、なんてことがあったら、NSAはお終いです」

「ああいう専門家集団は、政治家と癒着するとか、小さな汚職をすることはあるが、自分たちの存在意義を否定する悪事は、しない」

「だいたい、だから何ですか。テロで株価が動くとか、いちいち口にすることじゃないでしょう。

テロを起こすと、人々が逃げる、ビビる、だからテロリストが調子に乗って、テロを起こす。そんなこと言われたら、誰もがテロの原因になります。誰も無垢ではいられない」


ミリエルは日本くんだりに出張して、こんな気まずいテーマを提起して悪かったと思っていた。

イスラエルはいつも、テロを仕掛けられる立場だった。

ユダヤ人の犯罪者というのは、あまり聞かない。

ホワイトカラー犯罪は多いかもしれないし、かつてロサンジェルスには、ミッキー・コーエンとか何とかいう、ユダヤ人のマフィアのボスがいた。

しかし、ユダヤ人は集団で憎まれやすいから、犯罪者を出さないような内部圧力は強い。

合法ドラックでどれだけ儲かったとか、あのタコからいくら盗んでやったとか自慢して歩く、裏通りを闊歩するギャング集団とは違う。

 

 

ミリエルがいない間に、ベンヤミンは、古巣の警察の要人に会った。彼は妻がいないと寂しいので、人に合う頻度が増えた。

「日本の警察から依頼が来てますよ。テロ対策の講師をして欲しいと」

「ウチほど、テロや侵略の危険に怯えてきた地域は無いよ。アラブのテロリストが一番最初に狙ったのは、イスラエルじゃなかったか、それともイギリス兵か何かか」

「小銭稼ぎだと思って行ったらどうですか。何なら、無料で行っても良いですよ。

私たちは、真面目にテロ対策をしていると思って貰いたい。それで世界貢献していると知って貰いたい。

相変わらず、イスラエルが全ての悪事の黒幕をやっているとかいう、妄想を世界に広めている変な人が多いですから」

「だけど、それが、インサイダー取引を、技術的には可能にする、広域の情報網につながるんだから、鶏と卵じゃないですか。

スラミックス・テイトは、そのシステム自体を、追い払おうとしている。この情報網に、被害妄想を持っている」

「なら、何もしない方が良いと?原始人に戻るべきだと?

原始人こそがイスラミック・ステイトですよ。辺りの集落を荒らし回り、成人男性の2割以上がケンカで死に、女は性処理か子供を産む道具になる」

「原始人だって得をしないと、世の中は回らないんだよ。それが、トランプ・ゲームが教えたことだ。世の中には、インテリと、バカがいる。こういっては何だけど」

「それを言ったら、体の強い人と、体の弱い人だって、いますよ。体の弱い人は、何の咎もないのに、病苦に苛まれ、働けなくて白い眼で見られたり、いずれ医療がなければ死んでいく。

ひたすら生きてこその世界だとか、ただ生きることが希望だのという、お目出度い連中の、残酷な戯言を聞きながら」

「監視網は、爆弾で吹き飛ぶ無辜の市民や、酒飲み親父に殴られる女子供を助けることが出来ます。

それを前提に、汚職を防ぐしかない。どうやってやるのかは、知らないが。

それが分かれば、犯罪者は地球上から1人もいなくなる」