グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

Liam3


リアムとミュリエルは、大学1年生の頃に、当時新しかった金融工学の授業を受けていて、

ミュリエルはついていけなかった。

途中で専攻を替えたミュリエルを、リアムはバカだと思っていた。

国連関連機関への、就職が決まった時は、「国連って何?募金とかするの?プゲラ」、こんな感じ。

募金に金融工学もクソもない。

何となく付き合っているっていう感じになったのは、大学の4年の頃だけど、

就職したときは、最高にバカにされたし、住む世界が違うから、別れると思っていた。

金融業界と言えば、詳しいことは知らないが、バックオフィス、営業、受付、秘書、金の臭いに惹かれてやってくるモデル級の人々、とにかくイイ女の宴なんだろう。

2人は仕事が忙しいので、ほとんど会わなかったが、かといって別れ話も出なかった。

ミュリエルは、自然消滅したと思っていた。

2008年のリーマンショックが来るまでは。

リーマンショック以降、彼らの立場は逆転した。

リアムは、転職戦線の状況をグチッてきたり、

ナンパした女の自慢をする為だけに電話を掛けてきたり、ミュリエルの部屋に押しかけるようになった。

 

 

 

 


一日の一秒でも、無駄にしないようにしましょう。
一秒一秒が、お金になります。あなたのキャリアになります。

お客様の、一挙手一投足に注意を払って下さい。
あなたの話に退屈していませんか?
あなたがお客様を、落ち着かない気分にさせていませんか?


「何、聞いてるの。不気味だからやめて」

「俺は自分を変えないといけない」

「変えるって、何をどう変えるのよ。

人の家に押しかけて、勝手にお酒を飲んだりとか、そういうこと」

「分からない。とにかく、俺らの業界は終わった。

勝った奴は勝ったし、負けた奴は負けた。賭場は終わった」

「終わったかどうかわからないでしょ。

相変わらず株をやっている人はいるし、証券だって世の中に出回っているし。

米国債の発行額なんか、これまでで最高なんじゃないの。

私は詳しいこと知らないから、間違っていたら悪いけど」

「なら、どうしたら就職できるのか、教えてくれ」

 

 

 

「ねえ、ケイシーって暇なの」

「あんたほど忙しくはないよ。何で?男紹介して欲しいの?」

「リアムが、何かヤバいのよ。
ケイシーは、大晦日にリアムと寝るくらいには、気に掛けてくれてるんでしょ。リアムのこと。
フォローしてあげて欲しいんだけど」
「何のフォローなの」
「転職活動が上手くいかないのよ。

俺らの業界は終わったとか、自分を変えないといけないとか、

変なテープ聞いたり、危ない感じなの。何とかして欲しい」

「ミュリエルは何とかしないの。忙しいの?」
「忙しい。し、私は金融業界のことなんて全然分からない。

金融理論なんて、大学1年のときにリタイアしてそれっきり。

ケイシーは、顔が広いじゃない。私よりは、何とかできそうだと思って」

「ミュリエルってリアムが大晦日に私の家に泊まったって言ったとき、リアクション微妙だったけど、

それで、私とリアムが、デキちゃったらどうするの。

リアムは、無職で酒飲んでたら、ただのヘタレかもしれないけど、

スーツ姿が決まってるし、学生時代からモテたじゃない」

「私はリアムが、自分の手元で駄目になっていくのを見るよりは、立派になって巣立って行くのを見る方がいいよ。

ケイシーが本当に力になってくれるなら、だけど。変な業界に、売り飛ばしたりしないでよ」

「変な業界って何なのよ。例えば」

「知らないけど。仕事が無いとき、老人向けの消火器販売の詐欺までやったのよ、リアムは」

ケイシーは電話口で大笑いした。

「ストレスで擦り切れた男を飼う趣味は無いのよ。いくらイケメンとはいえ、他人の不幸を願う趣味なんか。

そんな女、どこにもいないと思うけど」

「それってもう、ほとんど、リアムのこと、切ってるってことじゃない」

「切ってたら、ケイシーには相談しない。黙って部屋の鍵変えて、それだけ」