グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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Liam4


「ケイシーは男タラシだろ。信頼できないよ」

それってお前じゃん。何言ってんだ、コイツ。ミュリエルは呆れた。それに、じゃあ寝るなよ。

それとも、ケイシーが信頼できないというのは、寝た結果、得た情報なのか。

ミュリエルはケイシーを、特に信頼できないと思ったことは無い。頼りになる女友達。何しろ、リアムと違って、ケイシーと寝たことが無いし、分からない。

「タラシとか、関係ないでしょ。リアムは仕事が欲しいんでしょ。

何も、体を売ってこいとか言ったわけじゃないよ。

それに最初にケイシーと寝たって自慢してきたのは、そっちじゃない」

「そうだっけ。俺は構ってチャンだから。俺は、ここを出て行きたくない」

ケイシーは、男に冷たいのだろうか。何となく、分からないではない。不特定多数に分割された、愛情のひとかけら。

リアムは、それでは満足できない、おこちゃんなのだ。自分は浮気するくせに、相手にはママになって欲しいと言う。

「それじゃあ昼間はケイシーのところへ行って、寝るときだけ、こっちに帰ってきたら。

私は外で寝泊まりして、居ないときもあるけど」

「外で寝泊まりするのか?」

「男じゃないよ、仕事よ。何でもかんでも、あんたと一緒にするのはやめて」

 

 

 


ケイシーはリアムに親切にしたようだ。リアムの発語に、知能の高そうな単語が戻ってきた。

リアムが調子に乗っていた、学生の頃みたいに。

国連タックス・ヘイブンを野放しにしてる。ああいうのは、いいのか」

タックス・ヘイブン累進課税の無い、高額納税者の税金激安の地、お金沢山持っている人にとっては天国だ。

南の島なんかに多い、リゾートっぽいところ。

大企業や大富豪が大勢の人を雇い、現地にお金を落とすから、タックス・ヘイブンは繁栄する。

タックス・ヘイブンなんて、国連の管轄じゃないよ。国連は、世銀とか、IMFとか、困っている地域への支援だから。

税率を下げて企業を呼び込むのは、各国が勝手にやってることで、国連が口を出すことじゃない」

「だけど、タックス・ヘイブンのせいで、地元へ税金払わない奴がいるっていう噂だよ。タックス・ヘイブン以外の国々は、嫌な顔をしている。タックス・ヘイブンは盗人だと」

リアムは、事情の分からない相手に、自分の専門分野をペラペラしゃべり倒す男ではない。

ときには、知らないフリをして、相手の情報を引き出す。

だからモテるし、営業トークも上手かったんだろう。それで、ブイブイ言わせていた。リーマンショックで、客が引くまでは。

「リアムはタックス・ヘイブンは、どうなの。例えば、就職先にはならないの。

タックス・ヘイブンは、英語圏でしょ。リアムはお金が好きだし、お金の流れの仕組みを考えるのが好き」

国連はお金と無関係ではない。派手な資産運用をしている噂は聞かないが、

お金がなければ人助けも平和の調停も、何もできないし、お金が無くて救えない人も多い。お金は、いくらあっても、足りない。

それが無限にあったら、どれだけの難民の子供たちが救え、どれだけの凄惨な内戦を防止できるだろうか。

タックス・ヘイブンの仕事は、税務関係の書類作りとかだよ。金融関係者も使ってるけど。

税金払わない為にスキーム作るんだろ。あっちの地域とこっちの地域、あっちの会社とこっちの会社、組み合わせたり。

株とか証券で、どれだけリターンを出せるかとか、そういうのとは違う。

数字いじりで、似てるっていえば似てるから、今から勉強しても良いかもしれないけど、儲かるのか。

そういうのって、さんざんやられてるんじゃないの」

頭を回転させているときのリアムは、悪い顔はしていない。酒を飲んでクダを巻いているときよりは。

 

 

 

 

 

ケイシーはキャリア・カウンセリングという、リアムに負けずとも劣らない、

これまた胡散臭い仕事をしていたが、ケイシーの紹介してくれた人たちは役に立った。

リアムは少し持ち直して、姿勢を改めた。昼間っからの酒もやめた。

フェイスブックに嘘の仕事内容を書いたりして。

別に嘘にのめり込むってほどじゃない。最低限の体裁ってこと。

無職の男と会ってくれる社会人は少ない。嘘でも仕事をしていると、書いておいた方が良い。

というわけで、リアムは、新卒で入ったかつての投資銀行の人たちと、情報交換で夕食を取ることになった。

この時間から、体が空いていること自体、彼らがあまり忙しくないことを暗示した。

しかしそこは、つっこまない、お互い辛い。

もしかしたら彼らのフェイス・ブックにあった職歴も嘘かもしれない。

タックス・ヘイブンがオイシイかどうか?俺の回りには、いないよ。少し違うんじゃないの、税務と金融は」

「あれだっていきなり規制とかなったら、リーマンショックと同じじゃん。

また路頭に迷うハメになるよ。

このところ、雰囲気危ないじゃん。

前にアノニマスか何かに、晒された奴らいただろ。

自分だけ蓄財して、脱税してるとか何とか。新興国の大統領の側近とか親族とか、リストには、そういうのが目白押しで」

「蓄財したい奴、腐るほどいるよ。新興国の奴らなんて、汚職で貯め込んでるし、自分のところの金融機関は胡散臭いし。あとはアラブの王様とか。

アラブの王室はスイスか。

だけど、タックス・ヘイブンの需要は、これからだよ。

特に国家破たんの噂が駆け巡ってる昨今だと、尚更そう。先進国だって例外じゃない。多くの人が、自分んところの銀行とか、札がヤバイってビビってるよ」

「俺もタックス・ヘイブンに金逃がしたい。それだけ持ってれば、だけど。スカンピンだから、どうでもいい。

友達や親戚に聞かれることあるよ。こういう仕事してたから。

ドルや債権が紙屑にならないか、資産をゴールドに変えたり、タックスヘイブンに逃がしたほうが良いか、って」

「何でスカンピンなの。稼いでたじゃん」

「マンションの最上階、買っちゃったから。今度、遊びに来ていいよ。彼女は出て行っちゃたし、もう不特定多数の女しかこないよ」

「不特定多数の女が来るのかよ。あいかわらず羽振りいいじゃねーか」

タックス・ヘイブンは、今から飛び込んだって、間に合わないだろ。

タックス・ヘイブンの人気の分け前にありつく為には、どのくらいの勉強を、どこでするんだよ。

大学のコースにあったけど、そういえば。法律系のやつと、財務系のがあったっけ」