グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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霞が関のホームレス2

 

「ケケは、言ってみれば、キチガイなのよ。あ、これアフレコ?」

三木は、サーノの持ってきた録音機をチラっと見た。

「私は裸で原っぱを走らされたわよ。本当よ」

大きな重役室の真ん中に鎮座する、ゆるふわカールの綺麗な女性が、アッサリ言った。

彼女は中国勤務から始まり、かの地でビジネスで成功して、日本に凱旋し、ビジネス界で、一定の存在感を築いたと言われている。

中国ビジネスの常で、その実態はハッキリしないのだが。

化粧品でカリスマになり、中国の大手企業とも付き合いがあるとか、メディアに目を通した範囲では、そういう感じだった。

イトーヨーカドーの研修員時代に、そこに参加したという。

そこ、すなわち、ケケが主催していた、企業セミナーだ。

企業が新入社員を一人前の兵士に育てる為の、便利なアウトソーシングだった。

「私は日本人と中国人は、違うと思っていたの。でも、ああいうときって日本人も中国人も同じよね。

やらなければクビにするって言われると、裸で原っぱを、走ったり、しちゃうのよ。

まあ、そういう意味では感謝してるわ。ケケには。

彼みたいなキチガイを前にすると、全ての人間は平等なのよ。

それで私は、中国人が怖いとか、そういう気持ちがなくなったの」

 

 


「ビジネスは、根性、根性、そして根性だ。

その根性を養う為に、研修はまず、ランニングから始める。

全員、裸になれ」

50人ほどの新入、中堅社員が部屋に詰め込まれ、壇上から2のドスの聞いた声が響き渡った。

そこには、日本人社員と中国人社員が半分くらいずついた。

「何で裸なんですか」

中国人は言うべきときに、言うべきことを、素直に言う人種だ。

他人の言うことを、黙って聞いていたら、

頭が足に、手が尻になってしまうだろう、彼の住んでいる地域では、理不尽な指令がまかり通る。

ケケは、壇上からつかつかと降りてくると、中国人社員の頭を竹刀で叩いた。

「何故裸なんですか」

ケケはその中国人の声色を真似て、オウム返しに繰り返した。

「そういう疑問が浮かばないほどに、ひたすら、働くということだ。それが現場の兵士には求められる。

何故、俺なんですか。何故、あの兵を殺さなくてはいけないんですか。まだ14歳じゃないですか。

現場に、そんな疑問はいらないんだ。そんな感情は邪魔になる。だから、働け」