グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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霞が関のホームレス4

 

「みなさんの能力とキャリアを生かして、自給3000円で働きませんか」

日々野公園を、選挙カーみたいなものが走っていた。

ここ数日見かけるようになった闖入者だ。

専門職の彼らに、時給3000円は、足元を見ている。

しかし、何の専門と言われても、官庁を止めてしまうと何とも言い難い。

田伏たちは、くじ引きをした。

赤いマークのついた紐を引いたのは、田伏だ。


田伏が、選挙カーの運転席の窓を叩くと、ウィンドウが下がり、顔を出した男に、そのバンの後部座席に乗るように言われた。

 

「どの辺のクラス?」

「止めた時は、課長です」

「見たところ、30歳くらいだし、そんなものですよね」

この面接、相手の素性を聞いていいのだろうか。

「こんなアルバイトを提示するのは心苦しいのですけど、自給は3000円お支払いします」

何、なんだよ。田伏は、目の前の男を見つめた。

こいつ、霞が関にいたっけかな、いても違和感がない。

「私は、出会い系や、婚活パーティーを主催している業者です。

お仕事というのは、そこにサクラとして出て欲しいんです。

働いていた時の名刺とか、持ってきて、相手に渡してください」

「それって、詐欺とかじゃ、ないんですか」

「失職しただけじゃないですか。そういうことって、よくありますよ。

他の同僚のみなさんも、呼んできていただけると、嬉しいのですが」

「でも、結婚している人もいるし、まあ、俺はこうなってしまうと、結婚もクソもないんですけど」

「そんなことは、隠しておけばいいじゃないですか。むしろ、ご家族の為にも、ガッツリ稼いでください。

確かに、若手の人を呼んできていただけると、嬉しいです。

30歳以下の方なら、自給5000円くらいは出ます」

 

 

「渡辺さん、出ますか」

田伏は、バンの中で業者から聞いた話を、ザッと同僚に話した。

「うーん、落ちたね、俺ら。確かに、このまま貯金を取り崩していくわけにもいかないんだけど。文無しだと、家族にも会えないし」

「これでも、自給3000円とか出すってことは、よっぽど金取ってるのかな?

女性はパーティー参加費、1回3万円とか。

公官庁の人が男性メンバーですとか書いてあって」


「医師専用の見合いサイトっていうのは、ネットの広告で見たことがあるけど」

「そういうことを考えるのが、僕は怖いですよ。

そういうことを考える人を出さない為に、霞が関は四角四面なんでしょう、必要以上に。

だから僕たちはなるべく、自分の行動の範囲内で伴侶を見つけて、飲み屋のお姉さんと結婚するような人は少数派なんですよ」


「でも要求される仕事が過激になっていって、KMS48とかに、なってたら、どうする?」

「これは、そういう用途じゃないだろ。俺たちが48人並んでも、オッサンの壁としか思われない。

俺らは、つまり、財布とステータスなんだろ」

「だから、それを48形式で競り落とすみたいな」

「一番貢いだ人がメンバーを入手できるってこと?

それで握手券の収入は全部、あの業者に入るってこと?」

「入手とか、そこまでは言われてないじゃん。

俺たちは、公官庁で働いていて、結婚相手を探しているフリをするだけだよ。

俺たちは、失業してるんだから、狙ってもしょうがない。入手されたら、失業していたことがバレるし」

「そのリアクションとかを撮るんですよ。婚活中の女性は、これだけ豹変する、とかいって、

そのアコギな業者が、そういう、世間の負け犬が好きそうな映像をユーチューブに上げたり、民放のバラエティでやったり」

「そうしたら、出会い系の事業自体が、不評を買うから、駄目ですよ、あり得ない」

「そういうの、負け犬っぽいからやめたほうが良いですよ。桜木さんは、頭の芯が腐り始めてるんですよ。

僕たちは、そういう暗黒面に落ちないからこその、公官庁の人間ですよ」