グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

AIIB丝绸之路=西亚=铁路4


サミーアのリラックス・タイムは急に終わりを告げた。

衝撃のあと、車両が急に止まり、辺りがざわめいた。

朝の庭に満ちる、小鳥たちの囁きって感じ。

男性専用車両に響く、オッサン連中の野太いダミ声じゃない。

まだ幼い子供の頃、女性専用のテントで寝かされていたときに聞いた、母親連中のおしゃべりみたいな感じ。

しばらくして、女性専用車両の乗客は、外へ避難するように誘導された。

サミーアは、万一でも、添乗員に気が付かれないように、深くかぶって頭を低くした。

辺りをキョロキョロしていると、サミーアは、人ごみの中に、ずっと同じ地域で育ってきた、幼馴染のナウラを見つけた。

マジで?何か、運命の出会いって感じ。サミーアは、事故に感謝した。

サミーアは子供の頃からナウラが好きで、彼女にそう告げると、

だって、サミーアって女の子みたいだから、キャハハ、と返された。そういう、因縁の相手。

サミーアは、人ごみを移動すると、ナウラに女同士でジャレつくフリをして、後ろから羽交い絞めにした。

「俺のこと、覚えてる」

「何なのよ、この人。何でこんなところに男がいるの」

「俺のこと女みたいって言ったのは、お前じゃないか」

「何やってるのよ。白昼堂々、痴漢行為?」
「ここから出たら、どこか遊びに行こう。事故で、どうせ予定が狂っただろ。いつも女の子が遊びに行くようなところへ行こう」
「サミーアは女の子じゃないし」
「俺はどこから見ても女だろ。誰も気が付いてない」

 

 


ミリアムは沿線を取材して回った。

その頃、ドイツでイスラム過激派が、タンクローリーで、野外のクリスマスパーティーの会場につっこみ、多数の死傷者が出た。

中国人がアラビア半島でどんな事故をおこそうと、ニュースバリューはさほど高くない。

取材費は潤沢ではなかったが、青い目の情報屋が、取材料をよけいにくれた。

「中華街の人たちと大乱闘があったよ。

こっちは2人くらい死んだし、向こうも無事じゃなかった」

薄汚れた長衣の男が、意外なことを言った。

「そうなんですか?そんなニュースは聞かなかったですけど」

「鉄道のオッサンたちにとっては、
そういうスキャンダルやばいから。金バラまいて、黙らしたんだよ」

フリージャーナリストのミリアムは、嘘の情報を掴んだらヤバイアラビア半島で、嘘のニュースを掴むことは、しょっちゅうある。

「黙らせてないじゃないですか。あなたが、しゃべってる」

「そりゃあ、ムカついてるから。

中国人が調子に乗ってるとか、

この地を、アラブ人の手に取り戻そうとか、そういうことはしなかったよ。表向きは、黙った。

これ以上騒いで奴らを殲滅するのは、止めた。

俺たち、金が無いから、いつもこんな感じ」

 

 

ナディームは、ほとんど食事をとらなくなった。

この肉は、また豚肉だったらどうしよう。

怪しいのはシャヒーンだけではない。

他の奴だって、信用できない。どちらかというと、シャヒーンは良い奴だった。

新興中華街の一画にあった、ガールズバーを冷やかしに行き、翌日、何事もなかったように、一緒にモスクで礼拝した。

稼いだお金は、みんなで分けましょう、なんてのは、理想論だった。王族やその下手たちは、しこたま貯め込んでいた。

親方だって、この間、給料を誤魔化そうとして、俺に指摘されるまで、全額を払わなかった。

今日の食事当番は、シャヒーンではない。

ナディームは、思い込みが激しい。

朝、ベットから降りるときは、必ず右足を先に下ろさないといけないとか。

13日の金曜日は不吉とか。多くのジンクスが人々を動かしている。

ナディームは、周りの人夫たちに、気が付かれるくらいやせ細っていった。

「お前、病院行ったほうがいいんじゃないのか」
「倒れるんだったら、現場に出るなよ。休んでろ。

会社だって、そういうのは、逆に保障とか面倒くさいし、俺も怒られるから」