どうでもいい

言及先、リンク先と私には関係がありません。 結果的に関係が生じても責任を持ちませんが、そこまで影響力がないんで気にしないで下さい。

鼻毛会長3

簡単な数値が並んでいた。空間把握力が15とか。

「ユリチャンは、発達障害か何か?」

「知能検査を受けさせてみたの。学校でもやってるけど、それは先生たちが勝手にクラス替えとかに使う用で、生徒は貰えない」

「どうするんですか、コレ」

「どうしていいかは、分からないけど。

もし百合が、空間把握力がズバ抜けていて、他がそうでもないなら、その空間把握能力を生かす勉強法が有効なの。

例えば、耳で聞くより、目で見て覚える感じ。

子供が自立する為の、最短のルートがいるの。

ただでさえキツい世の中だから、チンタラしている余裕がないし、最速でレベル上げしたいに決まってるよ」

「それを言ったら、日本には、無駄な資格とか、腐るほどあるじゃないですか。

私たちの行った、デザイナー学校だって、ボってると思わない。

例えば司法試験が、3万の定員で、志願者が10万人とかいて、

まず6年、法学部と法科大学院でふんだくるの。そして残りの7万人はその膨大な学費と、6年をドブに捨てて。そのあとは、知らない。

清掃員でもするの?親のコネで、秘書にでもなるの?

そういうことは、たくさんあるよ。

アメリカでは、1年足らずで法律資格が取れるんですよ」

「子供は、何かに興味を持つかもしれない。興味を持たないかもしれない。

何かに興味を持ったとして、そこから、大成するまでの道のりは長い。

うちには、そんなにお金が無い。

デザイナーはダブついてるから、私の仕事は、大した収入が見込めないし」

「でもそれ、ハズしたら恨まれるんじゃないですか」

好きを仕事に、得意を仕事に。

そのくらいの情報は知ってるよ、誰だって。

昔ほどロクデモナイ状況じゃないだろ?

コレは単に経済的に傾いているだけで。

だから。

ソレがマズイんじゃないの。

「旦那さんに、死ぬほど働けって言ったら」

「2人で自衛隊行こうとか?南スーダンで戦死すると9000万の遺族年金がでるっていう噂だよ」

「死んでどうするんだよ。子供がいるのに。お前は、アホか」

「9000万円と、私って、どっちが価値があると思う?」

「生涯年収でいったら、9000万円ですね」

そう、だから。

生涯年収でいったら。

1億あっても10億あっても、子供にとっては、1銭の価値もない親だっているって。

 

「どうしても少子化対策とかしたいなら、エリートが子供を10人くらい作ればいいんですよ。奨学金だって、返せるならいくらでも借りていい」

元町が本田を白い目で見た。こういのって、子持ちの人間が、独身の人間に、取るべき模範的態度。

分からないでもない、金がネーんだよ、金が。くれよ。

「役所に裏口で入るとかはどう」

「ああ?役所のポスターを作ったことがある程度で裏口って無理だよ」

「そうなんだ?」

「もっと、役場の不採算事業に貸し込んでる銀行の人とか、役人の都合のいい法律を通した政治家の人とか、裏口の枠は一杯だと思うよ」

そうなんですか。

さすが子持ちの人は、シビアだった。あまりに詳しい。

本田は感心した。

私みたいに、仕事のことしか考えているわけにはいかない。

だけど、だから私たちは、組んでいるんだろう。

互いにけっこう便利な情報が、入ってくるから。

「なら、中学生くらいから、公務員試験の勉強をさせるとか。子供が楽しく勉強できるアプリをつくって貰う。ソフトバンク辺りがやりそうだよ。あそこ、料金体系がタチ悪いし」

エッ、携帯電話の料金体系が複雑なことと、公務員に何の関係があるんだよ。

「歴史の年号を暗記して、偏差値に一喜一憂するのと、どっちがどっちかは、知らないけど」

元町は、テレビに出てくるビジネスマンみたいに、机の上に肘を載せて、胸の前で手を三角に組んだ。

「でも公務員試験やって、役所をリストラされたら、おしまい。

役所だって、火の車なんだから、役人は、いつまでも安泰ポストじゃない」

「稼ぎがないせいで、子供たちが、ロクな人生がおくれなかったら、どうするンデスカッ。とか言って、役所にねじ込んで仕事取ってくれば」

ソレはさっき言ったことと矛盾してるよ、デザイナーに大金払ってたら、役所は火の車になるだろうよ。

「そういうの、リストラされたり、貸し剥がしにあうオッサンがやってるよ。ワシらには家族がいるんですよ!あんたは鬼か」

「オッサン、本当に泣くよね。ソレは家族の生活が掛かってるから」

そうなったときに備えて、子供が職能を身に着けるのは、早ければ早いほどいい。

それに元町は、まだ泣くほどのレベルじゃない。

「元町さんみたいのはバカなんですよ」

「ほう?ふんなら、どういうのがバカでないの?」

霞が関は、有能な個体なんか出てきてほしくないから、年号暗記でスペックだけ証明すればいいと思ってるよ。嫌なら、高い金払って海外留学して、どうぞ、って。美大の人は、目がいいの当たり前だと思ってるけど、世の中の人の、ほとんどは目くらなんだよ」

「そういうこと言うと、仕事なくなるから、止めて」

「だって、他に言い方がないもん、

大して役に立たない内容ばかり教えておいて、金ばかりムシル。

私はその駄サイクルに入りたくないから、子供とかまずいらない」

「なら、連中の前で、そう言って来ればいいよ」

「ハア、言っても何も起きないよ。給料上げろデモとか、幼稚園落ちた日本死ねとかと同じだよ。ただのとるにたらないクレームだって」

元町は政治の話が面倒臭かった。

子供がいたらそうそう、政治の話なんかできない、

だいたい学生運動なんて学生のするものだった。

ヘイトデモでも内閣止めろデモでも、やってるのは多分、独身で暇な人、寂しくて誰かと群れたい人。ソレって偏見?

「勤労意欲無い人は、子供を作らないほうがいいよ。だいたい、勤労意欲って遺伝するじゃない。アドレナリンが出るとか出ないとか」