どうでもいい

言及先、リンク先と私には関係がありません。 結果的に関係が生じても責任を持ちませんが、そこまで影響力がないんで気にしないで下さい。

鼻毛会長5

 

元町は、仲のいい市役所の広報担当者の加賀見に誘われて、そのゴマ塩頭の上司と、3人で居酒屋で飲んでいた。

何なんだよ、旧友と、2人で気安く飲むっていうから来たのに。

ごま塩と元町は、互いにチラチラ見あたったが、あまり会話がはずまない。

彼は、50歳くらい?

とか、年齢を聞くのもはばかられた。

向うは「いくつなの」って開口一番、聞いてきたけど。

「えー、おじさんが教えてくれたら、私も教えてあげますよう」

なんていって仕事が吹っ飛んだら困るだろう。

 

何故このメンツになったのか、旧友の加賀見は多くを語らなかった。あとで2人のときに聞いてみよう。

周囲がザワついてるのがせめてもの救いだ。

元町は、間が持たないので、ついドリンク手が伸びて、だんだん眠くなってきた。

で、市はカジノブームに便乗して、小さなカジノを立てるとか立てないとかでモメているらしかった。

「パチンコをやめるポスターを作ったのは何故ですか」

「上から言われたからだよ」

元町はギャンブルにハマった記憶がないし、自分の娘もそうらしい。ゲームは適当に遊び、やっぱり適当に勉強した。

学校のテストは、やればやるほど、点数が上がる、応報性のあるゲーム。

どっちが中毒で、どっちがまともな行為とか、言い切るほどの確信はなかった。

例えば、目の前の彼みたいに。

それに、上には上がいる。中国や韓国の進学塾で、

栄養剤入りの点滴のキャスターを転がしながら、生徒たちが移動し、机に向かう写真などが、ニュースメディアに流れ、世界の人を驚かす。

 

「権藤さんのところの息子さんって、小3でしたっけ」

元町はたまに気を使って、加賀見の上司に話しかけた。

ゴマ塩頭の彼は、二度目の結婚だという。

「私は下の子を、公立にしようか、私立にしようか、迷っているんですけど」

「うちはみんな、英和学園だよ。公立だと、心配だし」

「お役所のみなさんは、私立に通わせている人が多いですか」

「公立は、荒れているからね。貧しい人も多いし、朱に交わって赤くなってしまっては困るし」

「市が管轄してるのにですか」

加賀見が元町のカットソーの袖を引っ張った、こいつはあまりタチのいい上司じゃない、だから黙っとけ。

「私立にすると、年200万くらい余分にかかるんですよ。

私も旦那も、権藤さんくらい、くらい稼いでいればいいんですけど」

ヤベッ。イヤミが出てしまった。

元町は狼狽した。

あなたはお給料、たくさんもらっていていいですよね。

ひとつ、野良デザイナーも、オコボレにあずかれないでしょおか。

「子供は、男の子なの、女の子なの」

「女が2人です」

「じゃあいいじゃないか、良いところを出して、良いところの男と結婚したらいい」

加賀見はおどけて手を上げると、自分の席を少し離した。

権藤は男尊女卑の染みついた初老のオッサンだし、

友人の元町は、気に障ることを言われたら、黙っているタイプではない。巻き添えを食いたくない。ジョッキを倒してこっちに水が飛んできたり。

「必ずしも、そういうつもりで、教育をしているわけでは、ないんですけど」

「こういっては何だけど、女子に教育はいらないんだよ。
女は子供を産めば、金が貰えるんだからさあ。

女の社会的役割なんて、他にないよ。
うちは男の子だから、大変だ」

権藤は酔いが回っていたし、最近はイラついていた。

権藤の弟は40代でリストラされて俺の家にタカってきているし、役所では、女性職員が幅を利かせていた。

昔の役所は、女性の応募者を男性職員の見合いの相手だと捉え、顔とスタイルで選んでいた、

もしかしたら、今もそうかもしれないけど。

テーブルが水を打ったように静かになり、加賀美は怯えながらこのセッティングを後悔し始めていた。

元町が、伝票を持って立ち上がった。