グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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鼻毛会長7

 

俺たち、暇だな。島野は手元の書類を丸めたり、折り鶴を折ったりしていた。隣の村沢は、パックマンを作り、島野の方へ向けて、パクパクやってきた。

「カジノの経営なんて、
そんなに難しくないんじゃないですか。客として潜り込めばいいんですよ。
あの王子製紙の人いたじゃないですか。

マカオかどこかで豪遊して、会社の資金をあらかた使い込んだ人。

あれだけ資金あったら、VIPルームとか入って、客のフリして施設を視察しまくって、全部パクって作れますよ。

勿体ない事をしたよ」

「客として遊んでネタをパクれるくらいなら、世の中苦労しないよ。
ディズニーランドやUFJより面白い遊園地が、日本にあるか?サンリオランド?富士急ハイランド?」

「日本人は、意外と、真似るの下手だからね。エンタテイメント方面は駄目。

英語も投下している時間の割には、世界一下手だっていう噂だし」

「要するに日本人は、面白くないんですよ。もういいですよ。

日本人は面白くない。俺は自分が面白くない人間だってことは、良く分かってます」

島野は自分の提起したテーマが外したというか、だんだんズレていったので、適当に回収しにかかった。

「でも、その御曹司は、カジノに何億つぎ込んだのかね。カジノには、それだけの魔力があるってことかね。

俺は賭け事に使う金なんて、100円でも惜しい。

アイスのガリガリ君で、当たりが出るとか出ないとか、その程度にしか興味が持てない。

宝くじなんて絶対買わない」

「それは国に掛け金の5割持ってかれるから、腹立たしいんじゃないですか」

ここには役人のメンバーが多いのに、またヤベー方に話が転がったな、と沢村は思った。そこへ天啓。

「日本の会社がカジノを経営するとかしないってことは、関係ないんじゃないの。オリンピック利権のヒヒ爺じゃないんだし」

垣内ジュニアが、ボソっと言った。垣内隆は、日本カジノ推進連盟会長の子息の1人だった。

オリンピックのヒヒ爺と、垣内会長は、仲が悪くないという噂だ。周囲は、垣内ジュニアの発言を測りかねた。

「そう、そこなんだな」

すぐに追従者が現れた。

互いに牽制しあい、おべっかを使い合い、しかし言いたいことを言う、微妙な会議になった。

口先三寸と、データイジリで生きている彼らにとって、公開討論は楽しいが、非公開の会議も、嫌いではない。

持って生まれた能力を発揮できるのは楽しい。賭博みたいな、他人任せのジェットコースターにハマる人の気持ちが、分からない人がほとんどだ。

「日本がカジノの経営主体になる。そんなことを、狙っている勢力があるとは思えない。

施設は洋モノでも、外から客が来て、小銭が落ちれば、自治体は助かるし。

中毒者のケアセンターとかもつくって、二度おいしい、そういうこと」

「でも、パチンコはどうですか。パチンコ台の作りなんて、ゼロ戦や炊飯器よりチンケですよ。

技術自慢の日本人が、何でそんなヘボ技術で、30兆円産業だか知らないけど、コリアンに席巻されてるんですか。

日本にはコリアンを叩く人がたくさんいるのに、彼らは街頭でとぐろを巻いて、ヘイトスピーチをするだけ。

コリアンが邪魔なら、板にクギ打って、客を奪えばいい。

アレは何なのかね。人間パチンコ玉ってやつなのかね」

「なぜ日本人が、30兆円のパチンコに手を出さないか。あんな品の無い商売に、誰も興味を示さないから。

もしかしたら、警察と半島に、何か密約があるのかもしれないけど」

垣内ジュニアはその場に溶け込んでいた。

垣内ジュニアが、父親と仲が良いとか悪いとか言う話は、ほとんど流れてこない。

彼は討論が好きなんだろうと、参加者は思った。ある種の、二世によくあるタイプ、一世がヒヒ爺で、反動でインテリ、みたいなやつ。

「国家予算の3分の1ですか。デカい、あまりにもデカイ。

それだけの金を、あのいつもスカンピンですっていう顔をして街を歩いている、チンカスみたいなパチンコ中毒者から、吸い上げることができる。

俺には信じられない。

欲しいですね。俺もハイテクパチンコ台とか考えようかな。

理工学部の研究室とかで、作らせようかな。産学共同とか言って」

「パチンコのやり過ぎで死ぬとしても、人は、どこかで死ぬ。永遠に生きられるわけじゃない。

だってアンタ、パチンコみたいなつまらないゲームに、ハマるやつの心理が分かるか。

パチンコをやめて真面目に働いていますっていう人を、見たことがあるか」

パックマンをいじりながらしゃべる村沢に、垣内ジュニアが言った。

「あなたの言った通り、カジノと中毒者の治療施設で、二度おいしいわけだし、俺は反対しないけど。

カジノを作ろうが作るまいが、ハマるやつはハマるし、ハマらない奴はハマらない。

ボケ老人が夢を見ている江戸時代だって、鉄火場があって、路上で人が死んだり港湾に人夫の死体が浮いていた。

役人が通りがかりの人間を斬って、お咎めなしだった。

役所が処刑した人の死体を、通りに晒して、庶民がウサを晴らしていた。

パチンコだろうが、カジノだろうが、ギャンブル中毒者の数なんて、変わらないよ」

垣内ジュニアは平然と会長の政策を罵ったが、会長の胸中を知っている人は、会長宅の日参者しかいない。