どうでもいい

言及先、リンク先と私には関係がありません。 結果的に関係が生じても責任を持ちませんが、そこまで影響力がないんで気にしないで下さい。

鼻毛会長10

 

 


「何か選挙カーあるじゃん、誰かな?」

「鬱陶しいよね。通りにくいし」

元町たち3人は、スタバを出ると、渋谷駅に向かった。

加賀美が、この間の、ごま塩について謝罪したいっていうから、集まることになった、仕事の合間の、短い会合。

ハチ公前で、人だかりがしていた。

渋谷駅に出たり入ったりする、通行人の、流動的な人ごみではなく、恋人たちの待ち合わせって感じでもない。

スーツとかジャージを着て、ハチマキなんかしてる、特殊な人たちだ。

「政治集会なの」

「だって、スポーツ大会の壮行会とかではなさそうだよ」

「ハチ公前で?」

サイバーエージェントの野外イベントか何かじゃない」

IT企業は、あんなダサくないって。IT企業、就職したいね。そう?

「アベッチとかレンホーだったら写メ取ろうかな」

「そんな有名人は、来ないよ」

「でも、新人でも、いい感じの人かも知れないし」

「政治家を顔で選ぶと痛い目に合うんだよ。言葉で選んでも、騙されることが多いけど」

元町たちは人たかりの群れに加わり、しばらく辺りを観察した。中央に鎮座する選挙カーの回りを、人々が足早に動き回っていた。

イベントが始まるまで、ヒマなので、ダベった。

「あのさー」

本田の「あのさー」はロクな合図ではない、

ステロタイプ美大出身者らしい、突拍子もないセリフの前フリだ。

「アベッチとかレンフォーが、自分の子供だったら、どうする?」

だから、あんな年上の子供がいるかよ。

私たちが、いくらオバハンだからといって、40代とか、60代の子供はいないよ。

「彼氏だったら、じゃないの。子供だったら?」

「鳩山ママみたいになるのか。株やって、活動を援助したりとか」

コレは将来へのイマジネーションなんだよ、という顔を本田がした。

はいはい。

私がお婆さんになあってもー、森高千里か。

「株やって応援するアベノミクス。AKB48のドルオタじゃん」

「孤児院とかに、アベッチとレンフォーがいるんだよ。どっちを選ぶか」

「だから、その設定がおかしいから。うちら、イメージで言ってるし」

「子供じゃなくて、お父さんだったら、お母さんだったら、っていう感じじゃない。人々の生活を支えるのが、政治家なんだし」

「でも彼らは、子供って感じのイメージで売ってると、私は思う。多分、有権者の多くを占める、老人向けのマーケティングなんだけど。

それか、マッカーサーのいうところの、12歳の子供か」

「さすが、美大生だね、頭がおかしい」

「レンフォーなら一家に一台って感じじゃない。オレオレ詐欺とか、絶対あわない。でも敵に回したくない」

「隣の人とかで。
お宅の庭の木の枝、こっちに張り出してますよ。
とか、昨日お子さんが騒いでましたよね、とか、言われて、メッチャ怖い」

「仲よくなれば、いい人なんじゃないの。
まあ、仲よくしてもらえるかどうか、不明だけど」

「1年間一緒にいたけど、彼は本当につまらない男です、とかいって、梯子外されたり」

「本当につまらない男だったんじゃないの。
政界って、オッサンが多いから、女はいかにもコケにされてそうだし、ずっと我慢してたのかも」

「女性なら、メルケルやヒラリーくらい迫力ある人。

小池百合子は、立ち振る舞いが堂に行ってるけど、政党ジプシーだから、魂胆が分からないよ」

メルケルもジプシーじゃないっけ?」

選挙カーの上に、ボストンバックを持ったジャージの男が上がっていた。

男はボストンバックを開けると、中にあった札束を撒き始めた。

バラバラになった札が、ジャージやスーツや一般大衆の群れに落ちてきた。

エッ何アレ?

周囲が独自の行動を取り始めた。

かがみこんで拾う人、ボーっと立っている人。

そのまま男は、長い間、札束を撒いていた。

3人のところにまで札束は舞ってこなかったが、彼女たちをしばらく成り行きを眺めていた。

「ねえ」

選挙カーから、札束を撒くのは合法なのか?

あの名古屋で株でもうけた札束を撒いた、テレビ塔男っていうのは、自分の金だから、無罪放免なのか。