どうでもいい

言及先、リンク先と私には関係がありません。 結果的に関係が生じても責任を持ちませんが、そこまで影響力がないんで気にしないで下さい。

鼻毛会長11

へえ、警察署の中身ってのはこうなってるのか。村井は放心しつつ、感心していた。

今まで捕まらなかったのが、不思議だった。

どっちかというと、早く捕まえて欲しかった。こんなくだらない人生は送りたくなかった。
取り調べの担当者が乗り出してきて、パソコンでグーグル・マップを示した。

「この金を渡した人は、この北区の原川ビル3階の、ポニーテールの男なんだね。キミは彼の素状を知らない」

あのシケた場所、地図で見ると、こうなんだ。村井はさらに感心した。初めて見たな。そんな頭も回らなかった。言われたことを、言われたまま、やるだけ。地図を見るなんて。

「マイクって言ってましたが、本名かどうかは、知らないです」

「俺はいつも、相手の素状とかいちいち調べないで、小銭を貰って、使いッパシリをするだけです」

村井は、緊張した一日を送り、精根尽き果てた。寝たい。

騒乱罪とか、日本銀行券をお粗末に扱ったで賞とか、なるべく刑期の長い罪で捕まりたい。

この件を依頼した、ポニーテールのヤク中は怖そうだった。

外に出ると、ロクな死に方をさせてくれそうにない。

俺は、パチンカスを10人殺さなかった、功労賞だ。でも警察は、そんなことでは、寝床なんかくれないだろう。

「俺は金を持ち逃げしたら殺すとか言われてたので、

金を撒いたら、尾行の人に、射殺でもされると思ってたんですよ。

射殺って、ラクですよね。一瞬で楽になれるし」

「その尾行の人っていうのは、探してるけど、まだ分かってない。

お前の言ってることが、本当かどうかは、マイクって人のいた、原川ビルっていうのを調べてみないと分からない」

「でもパチンコ店で、10人くらい客を殺せっていうのは、物騒じゃないですか」

もう1人の捜査官が言った。確かに、村井が札束を入れていたといった、ボストンバックの底から、刃物が出てきた。

持っているだけでは、犯罪ではない。普通の出刃包丁だ。

「ただ、マイクって奴が、本当にいたとしても、そいつも口を割らないから、この件は調べても、意味なくないですか」

「まあ、そいつの側から、この大金の横領とか、そういう告訴でもない限り、か」

 

 

「左山右男は、もう終わりだな」

会長の震える声が部屋に響き、支援者の代表たちは頭を抱えていた。

選挙カーの上から、札束を撒かれるというアクシデント。

まるで、これから汚職政治をしますよ、というようなパフォーマンス。

ここにいる、誰のせいでもなかった。

「迷惑しました。被害者ですっていう顔をしてればいいんじゃないんですか。

でも、警察の言うことが、ハッキリしないから、よけい胡散臭いですよ」

「ハア、大した事件じゃないとか言ってて。

パチンコ店で客を10人殺せっていう狂言らしいですよ。

その前払いの報酬で、この大金を貰ったんだとか。

それも、嘘だか本当だか、分からないじゃないですか」

「お前ら、金拾ったのか」

スーツを着た支援者の1人が、ショーヤたちを振り向いた。

「拾ってないです」

「そういうときは、拾っておけよ」

支援者たちはイラ立たしそうに、会長の部屋を出ていった。