グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

Christian Joke7

 

アーリンはイラクへの派兵が決まった一兵卒だ。

奨学金で一応、専門学校へ行くつもりだった。

私は、あんまり頭は良くないから、実技系にしよう、看護師とか何か。

イラクへ持っていくのに、家族の写真でもないかと思って、パパの部屋の引出を開けた。

古いレシートとか給与明細とかどうでもいいガラクタの中に、十字架のネックレスが混じっていた。それも、2つ。

パパは最近まで残っていた工場が撤収して、昼間から酒場に行っていた。

アーリンはパパ似の、筋肉質の腕でそれらを手に取り、首に掛けた。

モノは十字架でも何でも良かった。何となくご利益がありそうだから。

十字架の1つは以前、アーリンの目の前で、ママが放り込んだのだろう。トランプのエロトークを聞いた時に。もう1つは誰のだろう。

パパは酔っ払うと、ケツからキリストが出てくるとか言ってたから、違う。

弟はどこかの福音派にカブれていて、姉貴は兵士になるの、すごいよ、すごいよ、とか言っていた。

911の復讐とか何とか。最近のクリスチャンは、何だか危ない。

彼の脳内には、ネットで見た関係ない動画とかも混ざってるのかもしれない。

弟は子供の頃から、教会が好きだった。

パパは、下らんもんにカブレやがって、ケッとか言っていて、

彼の思うところのアメリカ魂は、どちらかというとアーリンに託された。

アーリンは教会より断然、野球とかやってた方が良かったから、あの巨大教会の内部がどうなってるとか、そういうことは、全然知らない。

 

 

 

「え、お前、イラク行くの、マジで?」

パーシーは、ことによるとソヘイルが強制送還されると言われるより衝撃を受けた。

「同胞を殺すハメになったりとか、大丈夫なのか」

パーシーは化学教師で、いわゆるKY。勘の鈍さは、どれだけ齢を重ねても変わらない。最近のポリティカル・コレクトネスは、ややこしいし。

「うちの親は、元々はムスリム何だろうけど、そんなに煩くなかったし。

だから俺も同じ。お祈りしないで、化学オタクやってても、何も言ってこないし。どっちが同胞かって言われたら、アメリカだよ」

ソヘイルは、高校へ上がってからは、そんなに迫害されなかったのかもしれない。評判の良い高校へ行ったし、レイシストや単細胞は、いなかったのかもしれない。

「お前、これつけないか?俺はもう、いらないし」

パーシーは、十字架のネックレスを、首から外して、ソヘイルに差し出した。

「そんなもの貰っても。何でいらないの。というか、先生が、そんなの付けてたこと自体、驚き」

「世界史上で、科学の発展を認めたのは、クリスチャンだよ。ムスリムは10世紀に戻れなんて言ってる。お前の科学精神とは相いれないよ」

「十字架を下げてれば、兵舎でイジメられなくて済むって?

他の人たちは、イラクでの任務に、イラク出身者が必要なことくらい、分かってるよ。さすがにソレは無いと思う。

アメリカ人は、そこまでバカじゃないよ」

クリスチャンのお膝元で、その科学精神がヤバイことになっているのだ。

パーシーは、アメリカそのものより、教え子たちの方が可愛かった。アメリカの定義は、人によって違い過ぎた。

西洋文明の担い手は、ネオコンじゃない、この移民の少年たちだと思っていた。