グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

Christian Joke8


アシュリーはシリコンバレーに来る前、イラクで情報機材のメンテナンスをしていた。

ある日、アシュリーは、かつての宿敵に会った。モーリス、小学校のときに、アシュリーを一番いじめてきた奴だ。

典型的、ジョックス(体育会系)。いかにも軍にスカウトされそうだから、鉢合わせしてもおかしくはなかった。

アシュリーの一般兵士への感情は矛盾していた。

コイツらは全員、ジョックス野郎で、子供の頃の忌むべき敵を彷彿とさせた。が、こうして大人になったアシュリーはゲイなので、片思いの対象ともなり得る厄介な存在だった。

どのみち、ノンケには手を出せないんだけど。

それにアシュリーはヒョロだから、ゲイにあんまりモテる方じゃないし、遠くから見ているだけ。

「Bポイントがエンジニアを必要としている。で、俺がアンタを護衛して行くことになった。お前、アシュリーだよな?

小学校の頃、チョッカイかけたよな。悪かったよ」

アシュリーは、モーリスからよう、変態、とつつかれて、クラス中に笑われたり、たまに小遣いを恐喝されていた。

チョッカイかけた、で流せる気はしなかったが、モーリスはアシュリーを命がけで護衛してくれた。コレは任務だ。当たり前だ。

自分はこれから向かうB地点で必要とされるエンジニアで、モーリスは、その人材を守る兵卒なだけ。

 

 

 

 

そのとき潜んでいたイラク兵から、背後から撃たれたアーリンは、イラク人女性が服の下に爆弾などを隠していないか調べる為に、その部隊にいた。

即死ってほどの致命傷ではなかったが、その場にしゃがみ込んだ。

この状況。

アメリカの泥沼に陥ったイラク撤退は、ほとんど完了していた。

シーア派主体の傀儡政府に、スンニ派の多くは敵にまわり、現地は荒れ続け、引き継ぎもクソもなかった。最後の敗戦処理

そのイラクの米軍は、制圧した街に兵を配置し、住人に紛れてテロリストがいないかチェックしていた。

そういう作業で、イラク出身の、ソヘイルが通訳をしていた。

イラク兵の弾はアーリンの肩に当たり、急所は外していた。そのイラク兵はソヘイルにすぐに射殺され、衛生兵が、アーリンの上着を脱がした。

イラクの同胞を殺すこと、大したことじゃない。俺はアメリカ人だ。

衛生兵が露わになったアーリンの胸元を見て言った。

「オイオイ、十字架が2つって何か縁起悪くない?」

ダブルクロスは誓いを2回切るってことだから、十字架が2個あること自体は、いいんじゃないのか。

コレは誰か戦友のかもしれない。前に誰かが死んで、それを彼女が掛けてたのかもしれない」

 

 

 

「あのクソ十字架やめたんじゃん」

寝室の入り口に、ロイがビール缶片手に立っていた。目線は上半身が裸のエイミーの胸元。

飲んだくれのクソオヤジ。

エイミーは反応に迷った。

昼間から飲んでないで、サッサと仕事探せか。人の着替えてるところにズケズケ入ってこないで、か。

たしかにあの十字架のネックレスは小棚に放り込んでしまったけど、ロイの為じゃない。娘とトランプに、それを侮辱されたからだ。

あのデカイ教会が来てから、長いことずっと、ロイとエイミーは会話が噛み合わなくなっていた。

ロイは妻をよくからかった。昔は、ヘソ出しパンツなんか履いてて、ハクイネーチャンだったのに。

そういうロイには、親愛の情より、戸惑いの方が多く感じられた。

下の息子とエイミーが教会に入り浸りになったから、

ロイは、娘のアーリンに文句を垂れて、アーリンは知るかよ、オヤジって感じ。

とりあえずキリストをケツから出すのを止めろ、なんて。口が悪いところもロイにソックリだった。

それでロイは、休日はよくアーリンの野球チームを応援しに行った。

エイミーが息子を連れて、教会へ行っている間に。何となく、家に2つの派閥が出来た。

ロイの友達の奥さん連中は、やっぱり2タイプに分かれていた。未だに短パンでピックアップトラックを運転したりしているのと、

新しくできた巨大教会に熱心に通ったりするのと。

その巨大教会も、かなり暗雲が漂っているらしい。

知らない女のアソコに触るのは簡単だ、と放言するような大統領が、毎日テレビへ出ていた。

目の前の女は誰なんだろうか。

昔、一緒にビールを飲んで騒いでいた、ハクイネーチャンの成れの果てなんだろうか。それとも、地味なベールを被って神の愛人になってしまった、薄汚れた俺を白い眼で見る、家の中の他人なんだろうか、

だけど、俺は工場が無くなって失業したつまらない男だ。

ロイはトランプほど傍若無人になれない。

たまには妻を押し倒してみたいと思ったら、そうすればいい。

もういい年こいたオッサン、オバサンだけど。エイミーは昔とそんなに体型が変わってないし、教会のことさえなければ、毎日、隣で寝たってよかった。

ロイは、仲の良かった娘のアーリンが出征してから寂しかったし、自分は失業して行き先が不安だった。