グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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Christian Joke9


アーリンは、すぐに動けるようになった。

「任務の邪魔になって御免なさい。せっかく出兵したのに、いきなり、このザマよ」

「大した怪我じゃないんだろう。痛い目に会った人はたくさんいるし、すぐに良くなるよ。

俺は自分の故郷が、こんなに荒れ果ててるとは思わなかったけど」

人は、目の前の誰かが落ち込んでいれば、自分のロクでもない状況もチラ見せして、相手を慰めたりする。

目の前のイラク出身の米兵を見て、アーリンは戸惑った。自分が肩に受けた傷の痛みとは、違う痛みを抱えている兵がいる、ということか。

ソヘイルは、衛生兵が、傷の手当の邪魔になって外していた彼女のネックレスを預かっていたのを思い出し、ポケットから出してアーリンへ渡した。

アーリンは困ったようにそれを受け取った。目の前のイラク出身の米兵は、ムスリムだろう、と。クリスチャンを殺したいほど、憎んでいるかも知れない。

ソヘイルは何となくその遠慮がちな目線に気が付いて、アーリンに自分が首に下げているネックレスを見せた。

「俺も似たようなのしてるよ。ホラ」

「あなたはクリスチャンなの?」

「中学のときの先生に貰ったんだよ。俺はテロリストの手先とか迫害されて、理科室に逃げ込んだりしてた」

「そう。十字架は、深い意味がなくてしてる人、たくさんいるよね。

私のコレもほとんど意味がないの。

出征前に家族の写真を探してたら、コレが出てきたから、つけてきただけ。2つあって、どっちを選んでいいか分からなかったから、両方持ってきたの」

 

 

 

地元には、ネオコンの末裔といった感じの、共和党議員が遊説に来ていた。クリスチャン用語を交えた、ロイにとっては、退屈な話だ。エイミーにとっては、どうか分からない。

ロイはトランプが嫌いじゃない。昔の仲間たちにソックリだ。くだらないネタで人を笑わせ、こんなクソな世界を、明日も生きていこうと思わせる。

ロイはエイミーを誘い、少し離れた工場地帯にトランプのドサ周りを聞きに行った。

いわゆるラストベルト、空洞化で寂れてしまった、ギリギリの工場地帯だった。

「あんなクソの話なんか、誰が聞きたいもんですか」

「だったら、クソとか逆賊とか、ヤジを飛ばせばいいよ。

俺はお前と、どこか面白いところへ遊びに行きたい。トランプは、俺たちの職を取り戻してくれると言ってる」

昔のエイミーは多分、MTVか何かでヘソ出しルックを見たから、そういう格好をしていたのだ。

カリスマ説教師がFOXニュースを席巻するようになると、同じパタンでそれを真似た。

ロイがヘソだしのネーチャンが好きなことに、深い意味はない。

それと同じで、エイミーがどういう格好をして、何にかぶれるかにも、深い意味はないんだろう。

ロイはイラクに出征した娘が心配だった。目の前でホラを吹くトランプ、こいつがクソな司令官でないことを祈った。

クリスチャン・カルトが、兵士を洗脳して死地へ赴かせる。良い趣味じゃない。そのイラク占領は、大量破壊兵器の嘘に騙され、泥沼に陥った。多くのアメリカの兵士が犠牲になった。

娘はクリスチャン・カルトに興味を示さなかった。彼女は、誇り高いアメリカ人として戦地へ向かったと、ロイは理解した。

 

 

 

以前、アシュリーが故郷の酒場を訪れて、ゲイ爆弾の不発に落ち込んでいるとき、モーリスが側に寄ってきた。

「お前、まだ軍の仕事してる?」
「俺はシリコンバレーに移ったよ。お前は?」

「俺は今は除隊してるけど、トランプはまたイスラミック・ステイトと事を構えるみたいだから、呼び出されるかもしれない。

お前は良いよな、頭脳派で。俺はいつも、危険な仕事に駆り出されるよ。俺はバカだから、仕方ないんだけど。

小学校のとき、お前をイジクったりしたのも、俺がバカだからだよ。

そういう奴の進路は決まってるんだよ。戦場でアボンするか、失業して酒場でクダを巻いているかだよ」

「そんなことないだろう。世の中、むしろ捕食者の方が上手くやってるよ。俺みたいな草食動物は、

お前みたいな獰猛な獣から逃げ回って、何とか社会の片隅で生息場所を確保しているに過ぎない」

「イジメが上手い奴でも、頭の良い奴はそうかもしれないよ。

俺らとつるんでいた奴の1人は、ワシントンDCかどこかにいるらしい。もう俺なんか相手にされてないけど。

政治家連中なんて、ロクなのがいない」

「お前はトランプが好きなんだろう」

「奴は単純に笑えるし、仕事をくれるってなら、貰っておくまでだよ。でもお前は嫌いそうだな、奴のこと」

「そうか?」

「だってお前はトランプがゲイだとか言ってただろ。俺たちみたいな人種に、ゲイってのは最大級の侮辱だよ。

俺はトランプがゲイだろうが、何だろうが、どうでもいいけど。あいつだってロクデナシで、嘘の面白い芸人に過ぎないよ。

トランプは良い女を連れて見せびらかすけど、あんなのに引っかかるのは青二才くらいだよ。

俺くらいの年になったら、勝ち組野郎が金に飽かせて買い漁ったんだろう、くらいにしか思えない」