グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

КГБ future5


「俺は、5日後の、市長の就任記念祝賀会に出られない。ジュワニに、代わりに出て欲しい」

ゴールドから電話が来た。ジュワニは、自分のスケジュール表を見た。どうしても出られないってことは無かった。

「でも、その日、試合とかありましたっけ。祝賀会の期間中は、スポーツイベントもお開きになるのでは?」

ゴールドは、たまにボケをかまして、試合の無い日に、1人で体育館に到着したりすることがあった。

それをよくマスコミに撮られて、天然キャラだと、人々に捉えられていた。

その健忘症が、ドーピングのやり過ぎのせいだとか、悪評を立てる人もいた。それで、ジュワニは、一応聞いてみた。どこか行かれるのですか。

「あの、病院。白くするやつ。定期的に行かないと、色が戻るから」

双方に、沈黙が流れた。

何の為に肌を白くするのか。

ジュワニは、素直に聞いてしまいそうだ。

「肌が白いとか黒いとかいうことに、意味があると思いますか」

ジュワニの口から、思わぬセリフが漏れた。

遠回しに何かを言おうと思って、墓穴を掘った。

ジュワニは、シット、と言いそうになって、額を手で叩いた。

ジュワニは、元々、自分が黒い天使とか言われることにも、納得がいかない。

天使に、黒いとか白いとかが、あるものか。聖書にも、そんなことは書いてない。

彼は子供の頃から、同級生や通行人を見境なくドツいたり、チェーンを振り回したりする、不良少年たちに、眉をひそめていた。

不良少年のカリスマなんて言われたくない。電話口の向こうから、吐き捨てるような声がした。

「あんたは、この社会の現実を知らないのか。

そんなのは、釈迦に説法だと思ったけど。あんたに、そんなことを言われるとは思わなかったよ」

「でもゴールドさんは、成功しているし、肌を漂白するほどの、不自由は無いように、見えるのですけど」

電話口を、沈黙が漂う。

 

 


ナイジェルとデゥークは、女神から指定された場所へ張り込み、

石造りのアパートの一画へ入っていく、女性の姿を確認した。長い立ちんぼで、降り続く粉雪が彼らのコートの肩に溜まっていく。

彼女は、そこにある事務所を拠点に、ルシーアの地下経済などの、取材活動をしているということだった。

そういう、KGBに都合の悪い西側の女。

望遠鏡で見ると、写真と同じ顔の黒紙の女性だった。髪の毛は、ベールの中へたくし込んでいた。

「殺せばいいんだっけ。俺、人を殺したことないし、怖いんだけど」
「殺して書類とパソコンを奪うんだよ」

2人は辺りを見張ると、通行人が途切れた頃を見計らって、彼女の部屋の、通り沿いの大きなガラス窓を壊して、中へ入ることにした。

2人はガラスを叩き割ると、

大きな体を窓枠からねじ込んで室内に入り込んだ。おかしい。室内を捜索したが、女の姿がなかった。

さっきアパートへ入っていくところを確認したのに、奇妙だが、仕方がない。

それで、とりあえず、書類らしきものを探して、オフィスを荒らした。

殺すのは後でいい。どっちが大事かといったら、書類の方が大事だと、女神が言ったからだ。

デスクは窓際にあり、2人が飛び散ったガラスを踏む音がした。


「だけど彼女は、どういうこと調べてるのかな?」

「イケメン・ツァーリが整形とかそういうことだろ」

ツァーリは、20年前から、まったく顔が変わらないよな」

「世界中の政治家がそうなんじゃ、ないのか。ああいう人たちには、影武者がいるんだよ、多分」

「テレビ画面が全部、CGだったりとかな。俺たち庶民は、踊るだけだ。いつも」

そのとき、階段を上がってくる複数の靴音と、玄関のドアのカギを回す音がした。

ドアの方から聞こえてくる話声、3人以上はいるような感じだ。