グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

КГБ future6


ナイジェルとデュークは来訪者に驚き、咄嗟に窓から逃げた。元々、彼らは殺しや泥棒なんてしたことがない。

KGBの犬をしていたという、デュークにしても、ボイスチェンジャーで声を変えて対象者を電話で脅したり、盗聴器を取り付けたりがせいぜいだった。

デュークは早口でまくしたてた。

「俺たちは失敗した。もうおしまいだ。女神は気が短いし、二度目はないよ」

「コレ持ってきちゃったけど」

ナイジェルが書類の束を持っている。

「お前、西側メディアってやつ、知ってるか?俺らはそっちに逃げるしかないんじゃないか?」

「西側メディアなんて、知るかよ。
そんなものが、このルシーアの、どこに存在するってんだ」

「国外逃亡とか、したほうが良いのかな?俺たちここで、もう命はないよね」

「ハッ、南の方へ逃げて、タタールゲリラにでもなるか?」

「この書類を奴らに売って、アラブとか中央アジアに逃がしてもらえばいい。奴らは、何か、ネットワークを持ってるかもしれない。

KGBだって、苦戦してる」

2人は無い知恵を絞る。足が自然に鉄道駅へ向かう。

 

 

 

 

「また受けるの、手術。体に悪いから止めたら」
「お前に言われたくないよ」

空調の完備したゴールドの部屋を、下着姿で歩き回っている、メリッサの全身には、錦鯉の入れ墨が入っていた。

ゴールドがアメリカに遠征試合へ行ったときに拾ってきた正体不明の女。

流暢なルシーア語をしゃべるから、ルシーア出身なことははっきりしている。

試合の後に、アメリカの通訳に連れていかれたクラブで、セレブしか入れないVIPルームにいた奴だ。

ああいう場所で、誰がセレブで誰がそうでないかは微妙だが、バウンサーが見てくれや身分証明証をチェックして勝手に判定していた。

メリッサはヴォーグの表紙に出たことがあるとか、隣にいた黒人の女が言っていた。そのとき、2人は赤いソファに座っていた。アメリカのクラブの、キッチュな内装。

アメリカの黒人の女は綺麗だった。ゴージャスな服を着て、アメリカのクラブのダンスフロアを闊歩する。

メリッサはゴールドを気に入った。ゴールドもメリッサを気に入った。

メリッサはルシーア国籍を持っていたから、ゴールドは彼女をルシーアに連れて帰ることができた。

メリッサは下着姿一枚のまま、ゴールドの部屋のソファに座って良く言った。私は落ち目なのよ。この先、これ以上浮上することはない。

そりゃあ、ヴォークの表紙に出るのが彼女のスタンダードなら、何をやっても落ちぶれて感じるだろう。

30歳を過ぎて選手生命の崖っぷちでとどまっているゴールドには、他人事とは思えない。

 

 


ナイジェルとデュークは、とりあえず中央アジア方面の列車へ乗り、国境付近で降りた。

車内に黒人は少ないが、ルシーア人ばかりというわけでもない。国境へ近づけば近づくほど、アジア風の顔の人が増えた。

彼らは、パスポートや海外のビザを持っていないから、国境は越えられない。

砂とまばらな木々と岩山が広がる、知らない土地だ。寂寥感ばかりが募る。

「俺たちは、KGBに追われてここまで来たんです。

あなたの土地を荒らしてすみません。匿って貰えませんか」

彼らは民家を丁寧に訪ねて回ったが、そのたびに鼻先でドアを閉められた。ここもやはり、見た限り、アジア人や白人が混じった土地だ。

彼らは売れない巡回セールスマンみたいな作業に疲れてきた。

ナイジェルは、言い方を変えることにした。

「じゃあ、あんたたちの邪魔はしないよ。

反政府ゲリラとか、そういう奴がいるところを教えてくれ。

俺たちがいつまでもここをウロチョロしてると、KGBが来るぜ」