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1、このサイトは書き直し中で、文章崩れています

追々直すので少し待ってください。

КГБ future9


ゴールドは、バーバリのコートの男から、鎮痛剤と麻薬を買った。紳士さんとでも呼んでくれ。売人は、紳士っぽくないダミ声で言った。

ゴールドは麻薬をやっていないから、クスリの種類のことは良くわからない。

痛みに効くと相手が言ったものを、そのまま買った。

ゴールドはマンションまで帰るのがツライので、鎮痛剤をここで使うことにした。

買った注射器を渡し、腕に打ってもらう。ゴールドの静脈を探しながら、紳士が言った。

「お前はツラそうな顔をしていて気の毒だから、1つ良いことを教えてやるよ。俺たちはリャザン市長の邸宅近くで、テロを起こす。

KGBの仕込みだ。タタールゲリラの仕業だと声明を出すんだよ」

今のゴールドには、どうでも良い話だ。今は全身の皮膚の痛みをどうにかして欲しい。

「ふざけるなよ。タタールが何をした?」

鬱陶しいことに、そばに座っていた男が立ちあがった。男は迷彩のパンツをはいていた。

辺りは、ピンストライプのスーツみたいな、お高く留まった格好、もしくは本当にエリートビジネスマンかもしれない、と、

ジャージのトレーナーみたいなダルそうな格好をした奴が混じっていた。女も混じっている。

「ハッお前はタタールなのか。そうか、ハーフか何かか。

ココは白人オンリーだからな。とんだバイ菌野郎が紛れ込んだもんだ」

紳士は迷彩に向かって、大声を上げた。

VIPルームは、それぞれがお気に入りのヤクをふかしながら、妙な音楽を聞いて意識を宙に飛ばすスペースだ。

辺りのクッションやソファーに座っていた白人たちが、焦点のハッキリしない目で、3人を見た。

タタールはメンバーを人種で選ばない。参加したい奴が勝手に参加するんだよ。

ただ当局の少数民族への迫害が著しいときに、抗議するだけの組織だよ。

俺みたいなマフィアもいるけど。資金を集めることが必要だから。それは、お前らと同じだ」

「そんな御託はいらない。ここは白人オンリーなんだよ。つまみ出せ」

紳士がバウンサーを呼ぶ。迷彩がそれを押しとどめた。

「お前も耳が悪いな。タタールは人種で選ばないと言っただろ。俺はどこからどう見ても白人だよ。

おまけに、お前よりもイケメンだ。

試しに俺とお前を並べて、人種差別主義者の女に選ばせてみろ。

お前なんか、シベリア産のジャガイモみたいに見えるぜ」

「早く、打ってくれ」

ゴールドが辛そうに紳士を促した。

 

 

 

女神は最近、KGBからハブられていた。

生意気なジャーナリストの口封じに失敗し、2匹の黒犬に逃げられたからだ。

KGBが殺そうとしていた、西側のフリージャーナリスト、

レジェ・アネットは、ジュワニの選挙対策のブレーンとして雑誌に登場し、

KGBに都合の悪いことをペラペラと話した。

この調子では、逃げた黒犬だって、どこかで西側ジャーナリストとやらに保護されて、調子にのってペラペラしゃべり始めないとも限らない。

彼は、右腕のしぼんだ女神の入れ墨をボリボリと掻いた。

KGBに戻りたいか?」

女神の煩悶タイムを打ち破ったのは、突然の電話だった。流れてきたのは、聞いたことの無い声だ。電話先の相手は、女神の答えを待たずに、話を続けた。

「リャザンでテロを仕掛けるんだよ。それがタタールの仕業っていう寸法だ。

その実行犯になってくれるなら、元サヤに戻ってきても良いって言ってるぜ」

「誰が」

「上がだよ。シナリオは、こうだな。あんたは、良心的な値段で良いヤクを扱う売人として、ヤク中の間では名が通ってる。

いつも変な刺青を見せて、薄着をしているから、ただの通行人でも知ってるかもしれない。

逆に、あんたがKGBの囮捜査官だってことは、ほとんどの奴は、知らない。

市長はヤクの取り締まりを強化してる。それで女神は、腹いせでリャザン市長の邸宅をやったんだ。

それで、俺たちが偽のタタールの声明を出す。

つまり、売人の女神ってやつは、タタールだったんだ。

タタールは資金源に麻薬も扱ってるから、

そいつらもまとめて危険集団としてリャザンから駆逐される。

涙がチョチョ切れる良い話だろう」

長ったらしい上に、くだらない話だ。

女神は逆上した。

何で俺が死なないといけない。

だったらKGBをお払い箱になっても、その辺を腹を空かせてウロついている方がマシじゃないか。

「俺が邪魔になったってことかよ。だけど、俺が何かしたか?消されるほどのことを。
俺の元から、犬が二匹、逃げただけだ。
犬なんか、しょっちゅう逃げるじゃないか。
いやに執着するな。
あれは、そんなに高級な犬だったのか?」

「あんたはマフィアとKGBの二重スパイっていう噂だ。

両方から情報を貰って、両方に売ってる。こすっからい野郎だ。

マフィアにしたって、タタールとルシーア、適当に天秤に掛けて、手玉に取ってるんだってな。

そういう奴はいくらでもいるけど、あんたはマフィアの側に偏り過ぎたんだよ。おまけに、今回の失策だ。

ところが、KGBは懐が深いんだよ。あんたの大事な家族を見捨ててない。

何しろ、KGBは腐っても公的機関だから、恩賞は厚い。嬉しい話だろう」

「兄さんの、移植手術が可能になるのか?」

女神には1年ほど前、腎臓病になった兄がいた。兄はリャザンの真面目な商店主で、どうしようもない女神の心の支えだった。兄の妻には、もうすぐ2人目の子供が生まれる。

「そう、お前がリャザンの真ん中で、爆死すればだよ。もちろんな。そいつは、大金だから」