グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

КГБ future11


ルシーアの兵器の密輸の噂はアネットの耳にも届いていた。

ただ、それはルシーアと西側の双方の利益に乗じて行われていることなので、

取材をしようとしても、アネットのパトロンたちは良い顔をしない。

アネットも、それならそれで、仕方がないと思う。ビジネスは双方の合意で成り立ち、第三者の口をはさむ隙はない。

取引規制の違反とか、そういう上のルールはあるにはあるが、それはアネットの取材範囲ではないし、ルシーアは国連などの決議をシカトするので有名だった。

ただ、それは、マフィアの資金源になり、そしてタタールやルシーア、ンチェチェなどの各種マフィアの勢力図に影を落とした。

そこが、彼女の追いかけているテーマと重なり、またKGBの関心事とも一致していた。


アネットは取材の資料から目を上げると、よくジュワニのことを考えた。

彼の苦悩に満ちた顔が浮かぶ。

「自分の子供に、今のルシーアの黒人の地位を歩ませたくない」。

アネットはこれまで、取材対象になったルシーア人を何人か、西側の諜報機関に紹介してきた。

そしてどこかからビザが出て、彼らはマフィアやKGBの迫害の手を逃れて亡命した。

彼女の出身地は、あまり黒人を差別しない、少なくとも、ここよりは差別感情が薄い。

子供だって、白人と黒人のハーフでも、当然のように社会に受け入れられる。

アネットはジュワニに言いたかった。

あなたは私といればいい。子供は安全だ。私はあなたを守ることができる。

でも彼は、そんな答えは望んでいないかもしれない。

それに私たちは、そんな仲ではないし、下手をするとセクハラだ。

いもしない子供の話なんて持ち出せない。

 

 

 


飛べない鷹が始末しなければいけないのは、女神だけではなかった。

鷹はKGBの手帳を出して、ジュワニのオフィスを訪れ、人払いをした。

KGBの手帳、あまりお目に掛かったことの無いものだ。

アネットは鷹を、敵対的な目で睨みつけ、ジュワニは困惑していた。

「俺は、あんたたちを邪魔しに来たんじゃない。いいことを教えてやるよ」

鷹はアイパッドを取りだし、白人女性の顔写真が並んでいるサイトを出した。

次のリンク先へ飛ぶと、全裸の写真などが並ぶ。

「セクハラですか」

「こういうサイトのほとんどは、タタールがやってるんだよ。

ルシーア人は豊かになった。ルシーアの男は、ヤクザじゃない。人身売買なんかしない。

だけど、その手の商売は、儲かるよ。いつだって。

麻薬に女、違法な銃器、白ロムのスマホ、どんな世界でも、喉から手が出るほど欲しがっている奴が腐るほどいる。

マトモなルシーア人が手を出さないものばかりだ。ルシーア人っていうより、マトモな中産階級は誰も手を出さないがね。

だから、どこへ行っても、その市場は空いてるんだよ。さあ、売りに来てくださいと言わんばかりに。

だからKGBは、貧しいタタールを利用してるんだが、何しろ儲かって儲かって仕方がないから、あんまり増長されちゃ困るんだ。

マフィアなんて、儲かったってロクなことはしない。

それで均衡が崩れたと思ったら、定期的にガサ入れをしてヘコませる。

商圏を、違う勢力へ移す。

KGBは、そういうバランスを取ってるだけだ」

KGBの手は真っ白だって言いたいんですか。私には、そうは見えないけど。つまり、あなたの言うことが本当なら、タタールの悪さを、ロシアの国益に利用しているんでしょう。

ネオナチを野放しにしたり。KGBだって予算に困ってるでしょう」

「西側が煩いんだよ。つまり、あんたみたいな奴だよ。ルシーアの情報テクノロジーは、西側には追いつけない。

ルシーア人が悪さをすれば、彼らに丸見えだ。

ネオナチは西側にも多い。あんまり叩くと、彼らだって、汲み取り便所からお釣りがくる。だからネオナチについては、あまりつつかない。

そういうことを、あんたが知らないとは驚きだ」

「ルシーア軍は、タタールの土地に攻め入ったじゃないですか」

「それは辺境地区が、テロリストの巣窟になってるからだよ。

田舎は放っておけば貧しくなる。

貧しくて生きていけないなら、その土地を捨てればいい。誰も地を這いながら生きてくれなんて頼んでない。

ルシーア人が、農村でプランテーションを営んでいたのは200年以上も前だ。

そんなもの、今のルシーアには、どこにも存在しない。

ところが、彼らは無限に増えるんだ。違法な金を、仕送りさせてまで。

ジュワニさん、あんたたち黒人たちは、何故ここに来た?

西側の援助に溺れ、やたらと人口を増やし、戦争を起こしたからだ。

だから彼らには、帰るところがなくなった。そういう野鼠みたいな人種に同情して、住処を割譲してやれだって?

そんなんだから、女を売買する奴が減らないんだよ。アネットさんよ。あんたは裸の女性を売り飛ばすことに賛成か?

そして、奴らは考え始める。そうやって人口を増やしてヨソに押しかければ、領土を分捕れるってな」