グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

Trans-Pacific Partnership9

 


イは飲み屋でいつものように逆ナンされていた。

「私は韓国人と、ベトナム人の、どっちに見えますか」

「さあ」

イは分からなかった。タイ人やベトナム人にも見えるし、韓国人にも見えた。タイとベトナムは近隣で、人の行き来があった。

俺みたいな奴の子供。

ガザツなイの心にわずかな動揺が走った。

イは意図的に現地妻を作った覚えはないけど、

昔、逆ナンしてきた女から、そういう連絡が来たことはあるような気がする。

現地で言ったら、それなりの額を渡して、もう来ないでくれといったら、来なくなった。

が、イのその記憶は、目の前の彼女の告白に比べたら大したことが無かった。

彼女の父親ベトナム戦争で米軍サイドに参戦した韓国兵で、母親は、ベトナムの戦乱で逃げまどったベトナム人女性なのだと。

「昨今の韓国の企業進出と、ベトナム戦争の韓国軍の蛮行が、ある面で似ていると言ったら?」

イは、さすがにイラッと来た。それはないだろう。

「アンタのいってることは半分当たってるよ。韓国っていうのは、ガザツな国柄だ。おまけにイメージ戦略を世界展開しているから。あんたみたいな邪魔者を暗殺するのは、朝飯前だよ」

「私だってベトナムゲリラの末裔です。ベトナム人は女も子供も侵略者と戦った。アナタみたいのを暗殺するのは朝飯前です」

彼女は、どこに隠し持っていたのか、小型の銃をイに向けてきた。

イは周囲を見渡したが、タイ人ばかりだ。

こんなことになるなら、韓国人の同僚とつるんでいた方が良かったかもしれない。

韓国企業は出世競争も激しいし、プライベートでまでつるもうと言う気にはなれなかった。

現地の人の多い酒場で1人で飲んで逆ナンでもされていたほうが気が楽だった。

 

 

 

ベトナムの韓国兵遺児が、タイで韓国人ビジネスマンを殺害。

このニュースは他の地域では注目されたが、韓国には流れなかった。

ただ韓国は、中国ほどのネット規制は無いので、この事件の真相を知ってる人は多かった。

イの2人の子供たちを含めて。遺族には正規ルートで真相が知らされた。

2人は、イに会ったことが、あまりなかった。

父は昔から忙しく、あまり家に帰ってこなかった。

写真に写っている彼はなかなかのイケメンだし、勤め先の企業名をいうと、人々に感心されるし、立派な人だということしか分からなかった。

「この人に会いにいかいない?」

「会って、どうするんだよ。復讐するのか」

「だけど、この人は殺されるよ。

ベトナムだって韓国企業の投資は多いと思う。

こんな人、放っておけないでしょう。ベトナム政府だって多分、始末に悪いと思っている」

 

 

 

犯罪被害者の韓国人男性の遺児。ハア、ウザイ客。とベトナムの留置所の警官は思った。

上に問い合わせないといけないのか。

逆に、知らないフリして、通せば。知りませんでした。ただの被害者の同僚か何かだと思いました。

追い返したってコイツら、せっかくの謝罪の機会を台無しにしたとか、斜め上から騒ぐかもしれない。

父の死せる魂を殺したのはコイツです、とか、俺にトバッチリ。

ヒラの警官は、ベトナムの法体系がどうなってるのか、ほとんど知らないが、昨日鉄格子越しに見た、なかなかのハクいネーチャン。

あの暗殺者気取りの女は、戦争犯罪という寝た子を起こし、大事な大事な投資企業の出足を削ぐ人民、処刑される可能性は高い。

この災難国、ベトナムには、ヨソから一体、どんなイチャモンが降ってくるか不明だ。

ベトナム政府と、韓国人ビジネスマンの身内、どっちが怖いか。