グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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土建5


T島は3か月ぶりに家に戻り、一週間くらい寝ていた。

たまにはレジャーだべ、と言われて、家族と遊園地へ来ていた。

「今時、ビューロランドかよ」

「お前もう中学生だっけ?遊園地はないわな。へへへ」

「親父、N工業つぶれたべ」
「だろうな。最近、簡単には儲からんもん。もう工業じゃ食えないってことだ」
「あそこは偏差値低いから、俺、行こうと思ってたのに」

2人は、ティーカップで、その辺をグルグルと回っていた。ゆるい振動が体に伝わってきた。

ゴーカートなどはマズイ。つい暴走して周囲に迷惑を掛けるのが、分かっているからだ。遊園地で暴走行為はしない。

「農民から人夫へ、工場労働者からサラリーマンへ、俺たちは、いつだってステップアップしてきたんだよ。次は、何かな、ってところだ」

「宇宙飛行士とか」

「宇宙飛行士ってお前、俺らは、部品の金型作るくらいがオチだべ」

「金型工場とか、この辺にはないよね。町工場なんかに建て込んでて。あれは人んちの、領土じゃん。専門学校とか行けば良いのかな」

妻は売店で、韓流のブロマイドを見ていた。

男はひっぱたいて動かすタイプの彼女が、芸能人にホレるとはお笑いだ。

康夫が、ヨン様のどこが良いの?と聞いたとき、

親父みたいな体格で、顔が良くて優しいから、とか言っていたのには、さらに笑った。

 

 

ソ連の刑務所は、すぐにマフィアに支配されたり、殺傷沙汰が起こってしまう。

待遇が悪いので、看守はあまり集まらない。

酒を飲んで暴れたとか、革命への犯罪とか、どうでもいい罪で入っている人も多い。

それで、刑務所を維持していくのが面倒臭いので、囚人をシベリアに送るなどの旧慣行が支配していた。

T中組と、シベリア人民公社

2つのグループの間に敷かれた境界線は、たびたび侵犯された。

まず、降ってきた雪に覆われた、雪解けで溶けた、などの理由ですぐに消えてしまう。

「スミマセン、ソコ、入らないで。僕たちちゃんとしないと、コワイ、コワイ」

M川がツルハシをふるっていると、細見の青年が止めに来た。

フードからわずかに金髪がのぞく。
これは現場監督なのか。
日本語が上手い。

「ユー、ノー、プリズナー、イエス?」
「イエス、プリズナー」
「プリズナー」
「イエス」
「ワット・ユー・ディド」
青年は、笑って首を振った。人は見かけによらない。この華奢な青年は、何をやって捕まったのか。

何故、熊の群れの放り込まれたのか。日本語はどこで覚えたのだろうか。

しかしM川には、これ以上コミュニケーションを取る言語力がなかった。

ナゾは多くあった。

周りの熊たちは怖いか。
給与は貰えるのか、それはいくらか。
M川は、青年が去っていくのを名残惜しそうに見た。