グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

土建6

 

M川たちは最近まで知らなかったが、北方領土にはサウナ施設があった。

ムネオマネーで住人福祉の為に建てられ、地元の人には、公民館のようなものとかいう噂だった。

T中組は、好意で使わせてもらうことになった、というか、入場料として、ジョニクロや焼酎をかなり寄贈したらしいが。

焼酎なんか飲むのか、露助。T島は自分の酒が減ったので、少しガッカリしていた。

でも、一度か二度利用するうちに、コレは寒い野外作業の後では、涙がチョチョギレるほどありがたい、ということが判明した。

酒よりいいんじゃないのか。

しかし、その日は、サプライズがあった。

彼らが室内に足を踏み入れると、中央に、北の国の妖精が座っていたからだ。

室内に入ろうとしていたM川たちは足が止まった。

ロシアの熊を見たが、何の反応もしていなかった。黙って、隣の熊と笑談していた。

良く見ると白い熊陣営には、細っちいのもいるが、普段は、防寒具を着込んでいるから熊と区別がつかない。

彼らの礼儀正しい視線と違い、

M川たちは、目がサウナ室の中央に釘づけになっていた。

「何あれ、生きてるの?」
「マネキンじゃね?」

妖精は足を組み替えた。

M川たちに向かって、手を振った。

 

 

 

 

ユンボやブルドーザーを5台も6台も持ち込んだのは、Oたち以外にいなかった。

問題は瓦礫だった。瓦礫をどかす仕事はいくらでもあったが、

どこへ置きに行っても、そこに積まないで下さいと言われて、グルグル回ってしまった。

そのうち議会か何かがあり、他県に置きに行くということに決まった。

瓦礫の量が多過ぎて、福島には置ききれないからだ。

どうやら、ここは儲からない。

儲からないから、他の業者がいないのだ。

しかし、一度来たなら、やるしかない。

行政だって、復興に力を入れているはずだ。

N元は、自分たちがテレビに映っているのを見た。

被災地の人のインタビューの後ろで、ユンボを運転していた。

コレが俺だって、故郷の家族や知り合いには、分からないだろう。

 

 


MAKIKOはプライベートの自宅の三階から、N市を眺めていた。

高いビルもあれば、工場があり、田んぼもあった。

父の作った、大きな工業都市、東京からの新幹線も直通していた。

彼女が子供の頃は、ひたすら一面に田んぼが広がっていた。新幹線も無くて、冬になればひたすら雪に閉ざされて暗かった。

ここは反原発派が議会の多数派を占めた。

もう、彼女の出番は無さそうだった。

ポケットに入れていた、スマホが振動した。


「外務省?外務省って何ですか?

ウチ、イタ電は間に合ってるんだけど」

「MAKIKOさん、あなた、やってくれましたね。あなたの会社ももうおしまいだ」

「何でお終いなんですか。そういう悪戯電話は、間に合ってるって言ってるんですよ」

「領土交渉には厳密な決まり事があるんだ。あんたみたいな、勝手は許されない」

「うちの人夫が何かやらかしましたか。真面目に働く、良い人たちですよ。彼らは」

「コレは、あんたのところが、良い会社か、良い会社でないかってことは、関係ないんだ。あんたは虎の尾を踏んだんだよ。スパシーボ」