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1、このサイトは書き直し中で、文章崩れています

追々直すので少し待ってください。

土建8

 

ロシア人たちが、ダイナマイトで岩や遮蔽物を砕いていた。

M川たちは、そのガザツさに肝を冷やした。

防寒具を着込んでいると分かりにくいが、サウナで見た彼らの中には、腕や足の無い人が混じっていた。

「あんた、そんなことしたら、死ぬよ。ユーダイ、ノットグット」

スカヤは顔をしかめた。何、この猿は。

彼女が現場に立っているのは珍しい事だった。

M川が、身振り手振りで彼らを呼ぶと、

自分たちの持ち場になっている、岩のところで、爆発物の仕掛け方を実演した。

そのやり方が、安全とかいうことより、彼らの爆発物の威力に、熊たちは盛り上がった。

スカヤも興味深そうに眺めていた。

熊たちは、汚いルーブル札を何枚か押し付けると、M川たちの爆発物を持って行ってしまった。

 

 

 

 

この工事はお終いだ。MAKIKOは、慣れない防寒具を着込んで、大股で雪の道を歩いた。

お上からストップが入った。このままでは領土不法侵入か何かで訴えられると。

その前にケジメをつけておかなければならなかった。

彼女の人夫たちは、ソ連の囚人にイジめられて、尻尾を巻いて逃げ出したわけではない。


MAKIKOは通訳を連れて、スカヤを訪れた。

彼女の滞在しているところは、御殿というほどではないが、囚人のボロ屋とは一線を画す、心地よい居住スペースが形成されている。

「あんた、ダイナマイトを盗んで、うちの人夫をやってくれたみたいね」

スカヤは、いつもの、何、この猿、という顔をした。今度はメスの猿が来た。

「私はすべてを統括しているわけじゃないの。私はここを1人で仕切ってる。面倒が見きれないわ」

「あんたんところの人夫も、死んだじゃないですか。巻き添えを食って」

「そういうことは、よくあるわ。
彼らは頭が良くないし、冷たい海に落ちたり、囚人同士で殴りあって相手を殺してしまったり、そういうことは、よくあるのよ」

「あなたたちは労災とか出さないの」

労災。スカヤは頭をひねった。聞いたことの無い言葉だった。共産圏にそんなものはなかった。いわんや、強制収容所には、だ。

 

 


T島たちは、ロシア語の通訳をMAKIKOから強奪した。

M川を病院送りにした熊たちに、事情を聞きに行かなければいけない。

彼らの宿舎は、相変わらず酒臭かった。酒の瓶もたくさん置いてあった。

「俺たちは何もしてない。お前が一方的にM川をやった。俺たちはそういうのを許さない」

通訳が訳すと、一同は「だから?」という顔をした。

「やったのは、こいつだよ」

体格のいいスキンヘッドが、仲間を指差した。

防寒着を脱いだ彼らは、けっこう普通だった。細身の金髪、赤毛の中背の男など、どいつもこいつも熊ばかりってわけじゃなかった。

指をさされたのは、その赤毛の男だった。みんな、暖かそうな肌着を着ていた。

「連れてっていいのか」

金髪が手を振った。他の囚人たちは、興味がなさそうに酒を飲んでいた。


T島たちは赤毛にコートを着せると外へ連れ出した。

外へ出て少し歩くと、ツルハシで穴を掘り始めた。

「俺たちは日本人だ、お前たちみたいに人殺しはしない」
「ならどうするんですか」

通訳が困った顔で、T島を見た。変なことは仕出かさないでほしい。

「穴に埋める」
「それは人殺しとは違うんですか」

「違う」

M川は、ダイナマイトの悪戯で怪我を負った。

T島たちは、赤毛を一通りボコり終わると、穴に落とし、囚人たちを呼びに行った。

「赤毛鍋。こういうのって面白くね?」
「面白くネーヨ」
「これからはもうやるな。俺たちはチキンだ。怪我人を見たくない」

双方の社長は、出払っていた。

彼らは、案の定、乱闘になった。