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1、このサイトは書き直し中で、文章崩れています

追々直すので少し待ってください。

土建10


クレムリン陥落のニュースを受けて、ソ連強制収容所は閉鎖された。

スカヤは雪面に仁王立ちしていた。

彼女をシベリアの収容所の統括責任者にした、言動の危なっかしいシベリア首長は、音信不通だった。

脇の甘い男だった。悪い奴じゃなかった。気の毒な男。

囚人たちが、ツルハシを手に下げて彼女の指示を待っていた。

「あんたちは自由になったのよ、ファック。スパシーボ!」

「自由って何ですか」

「自由は自由よ。好きなところに行ってもいいのよ」

「俺らでも、帰るところとか、ないですよ」

「私だって無いわよ!」

 

 

 

 

 

蟹漁は儲かるが激務という噂、稼ぎたい人には良い。

船上には、白人とアジア人が半々。土建を引退したMAKIKOが餞別に船をくれた。

M川たちにも、知った顔があった。北方領土=南クリル諸島でダイナマイトを仕掛けてきた奴。

手の空いているときに、背中や肩を叩いたりして、悪かった、とか、言ってくるが、M川には言葉が分からない。

ダイナマイトの爆発は、やけどの後がついたくらいで、大した後遺症を残さなかった。

「お前らは、もう囚人じゃないのか?」

M川の苦心してひねり出した英語は、彼らに通じなかった。元囚人は、英語の教育も受けていなかった。

漁をしているロシア人の中に、小柄な熊がいるが、彼(本当は彼女)がスカヤだということに気が付いている人は少ない。

うやむやになってた北方領土公共事業には、モノホンが進出してきた。

領土交渉の過程で、トップが粛々と決めた事項に従い、入札と付け届けをして、許可を受けた、

ロシア、日本、双方とも、「まっとうな」業者たちだ。もう彼らの出番はなかった。

ソ連は解体し、強制収容所は無くなった。シベリアのロシア人たちは、普通の労働者になった。