グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

Chinese Palestine3


「オルドス?あんな僻地に出店ですか?」

浜田の思った通り、部長は渋い顔をした。
「まあまあ人はいますし、いいんじゃないでしょうか。パレスチナ難民が入ったり、幽霊ビルを埋めてますよ」
「なんか、遠すぎて……」
「最近、大都市の住人規制、厳しいじゃないですか。先輩だって税金払うの、キツくないですか」

オルドスに鉄道は通っているから、砂漠の孤島ってわけでもない。

人が来なくて困っている、僻地のゴーストビルの入居料は安かった。

上海は物価が高いから生活が苦しいし、コンビニの本社で死ぬほど働いたり、湯ートピアの忙しいアルバイト店員になるくらいなら、

収入が下がっても、寂れた内陸部の都市に移住するのは、悪い選択肢ではない。

日本へ戻っても大した仕事がないし、せっかく中国語を覚えて中国に来たなら、その道を追求したい。

そう思う彼らは、変なもの好きで、冒険者体質だ。

 

 

「アレ、これじゃないな、コッチかな」

浜田の頼んだ業者は、これまでドアの鍵穴に鍵を10個以上はめて、どれも失敗していた。

彼の手にした鍵フォルダーには、100個以上の鍵がブル下がっている。

そりゃあ、部屋ごとに鍵は違うだろう。同じだったら困る。

業者は、20回目くらいでやっとドアの開錠に成功した。

「鍵はとりあえずコレ使って下さい。心配だったら、業者に頼んで変えてもらって下さい」

随分長い間、使っていないのか、床は埃をかぶり、天井に蜘蛛の巣が張っている。

中国人は、貸す部屋を客に見せる前にきれいに掃除をするほど気が利かないが、その分、仲介料などが安い。

バージョンアップや、素材の禿げの塗装は自費で。ここではなんでも自分でやる根性がないと、快適に暮らせない。

浜田は、この部屋に決める前に、業者に案内されて、2件ほどの部屋を見たが、中に羊が何頭か入っていて、床に土が敷かれ、牧草地になっていた。使用不可能。

「まあ、しょうがねえな、俺たちも管理してないから」

この業者は、他のところで儲かっているようだ。

オルドスくんだりまで案内するのは面倒くさいと、浜田は、かなり手数料を取られそうになった。浜田は抗議した。

「ボッてはいけません。オルドスは、これから来ますよ。追放された人、多いですから。北京で実施された住人仕訳け、ご存じでしょう」

「あんた、北京に住んでいたのか、スゴイよ。俺は、あんな高級都市、入れてもらえないよ」

業者は、元農民工で、不動産でやっと成功したのだと言った。

リーマンショック後、ここのゴーストビルの一画を、安く買い取ったと。

その手の事業拡大を、この近隣一帯でやっているのだと。

 

 


その日の北京は騒がしかった。

中国政府はこの手のニュースを揉み消すこともあるが、さすがに外国人の多い北京で起きたテロは目撃者が多く、隠すことができない

「本日、北京南部の飯店で、テロが起きました。

10名以上が犠牲になったと見られています。

消防が、必死の救出活動を続けています。

現場近くの壁には、パレスチナ人の痛みを知れ、というコメントが書かれていた模様です」。

大通りの家電量販店に並ぶテレビのディスプレイが、通行人たちに事件の状況を伝える。

現場周辺の人で、パレスチナ人の痛みを知れ、という壁の落書きを見た人はいない。

物騒なので当局の人が消したのか。それとも、元々そんな落書きは無かった。当局の捏造。

かといって中国当局が、パレスチナ人を憎みそうな動機も見当たらなかった。

パレスチナ難民は、これまで中国当局に抗議などしたことがない。ただ土地の提供を、感謝しているだけ。