グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

Chinese Palestine12

 

マッツンとザーヒルとハイファ。

彼らは浜田とリウに、オルドスで合流した。

久しぶりの帰郷。漢人が増えていた。

二級市民として、大都市から追放された棄民の群れ。

どこかのスラムに屯するほどバカじゃない、新天地でやりなおそうというくらいの気概と能力のある人々。

2010年頃に、絶対に埋まらないと思われていた巨大なゴーストビル群は、大分埋まりつつあった。

「その変なガジェット、日本に売ろう。安いし、使い勝手良すぎだし」

浜田は一通り、ザーヒルの工芸品をいじり、関心した。リウもこれに興味を持った。

「でもパチモンなんだよ。中国でもパチモンなのに、日本で許可取るのは至難の業だよ」

「ザーヒルたちの研究室で正式に商品化したら。

サムソンのギャラクシーだって、アイフォンか何かの劣化版だけど、堂々と売ってるじゃん」

「そうしたら、俺たちの噛む要素はないんじゃない」

「噛むとか噛まないとか、浜田は商社で勤務でもしたことあるの。

コンビニなんて、品数揃えて、売るだけ。そんな変なところから仕入れてきて売ってるコンビニなんてないよ」

ドンキホーテみたいなやつ。アウトレット・ショップとか」

「俺は、こういうのを売って大儲けしようとか思ってないし」

ザーヒルは面倒臭そうに言った。肝心の開発者に、やる気なし。

「ザーヒルは欲ないね。頭の良い人は余裕あって違うよ。

私なんかアホだから、いつも商売のネタを考えてないと、すぐに路頭に迷うよ」

「そう、俺たちは二級市民として北京から追放されて、オルドスへ来た。キミたちは、一級市民として、オルドスから北京へ招かれた」

リウはそう言って、ザーヒルとハイファを見た。浅黒い肌、二重の瞳。当局が恐れつつ活用している、人材。

中央政府は、リウに彼らのスカウトを命じたが、その直後にリウは追放を言い渡された。そうすると、彼らの立場は何なのか。

でも、彼らは俺の指令で動いてるわけじゃない。俺は俺、彼らは彼らか。

彼らは多分、中国のガラスの天井を、知らない。もしくは、大変革があるか。中国をアメリカにするという。

 

 

 

 

オルドスに中央から来客が訪れ、地元の役人たちは、肩身が狭くなった。

いつだって、中央のお偉いさんを出迎えるのは、面倒くさい作業だ。

市民や職員が歓迎に並び、花を用意し、茶を出し、何かご不満はありませんか、と顔色を窺う。

しかし彼らは接待も早々に辞退し、会議室に引きこもってしまった。幾人かの地元の上級職員を連れて。

「山猿が5匹に増えた。2匹は、私たちが北京に招いたパレスチナ人の博士の卵だよ。

彼らは恐らく、あんたの言う、いわゆる良心の持ち主と言う奴だ。

彼らは北京では新人だし、政治のことなんか知らない。手元にあるデータを参照する限り、清廉潔白なタイプだよ。

あそこで集めているデータは正しく人民の為に使われると思っているし、党の汚職なんて、袖の下くらいのことだと思っている」

「党が公正でないことは、広く庶民に認識されてるよ。

それでも、経済的には上昇した人が多いし、党は、その手腕を評価された。

ただし、次の商売のネタが要るだろう。

アメリカならスターウォーズ計画で、ソ連を倒した後、IT革命を持ってきた。そこで世界の情報ネットワークを牛耳り、

そのバブルがはじけると、911でテロ対策の警備網を築いた。

それもまた下火になってくると、次に積み上げていた金融工学の知識で、サブプライムローン・バブルを起こし、ドル覇権を盛り上げた。

そのように、経済発展は、常に2段、3段の構えがいる。

あるバブルが終わったら、次の商材が要る。つなぎが必要なんだよ」

「それが、ビックデータを利用した、各種の実験だと」

「中国政府は、グーグルの情報侵略を食い止めた。

なるほど確かに、そのせいで中国には、クソみたいな情報しか流れていないが、国産のIT企業へ資源配分には成功した。

中央への資本の集中で、投資すべきジャンルを絞り、厳しい技術開発競争を生き抜いた。

だから、半導体太陽光発電パネルも、どこも資金不足で倒れていく中、最後に中国が生き残った」

「ですが、民間の活力を利用しないと、いつかは死んでしまうのが、ソ連の教訓じゃないですか」

中央役人1は、この会議に退屈し、その辺のパレスチナッ娘でもナンパして、宿泊先に連れ込もうかと考えていた。

そのためにあるような、この中央役人の肩書きの入った名刺。

それで、気に入ったら北京へ誘おう。俺が飼ってあげるから。パレスチナ人の愛人なんて、エギソッチックだ。同僚に自慢しよう。

2030年の、オルドスの人口は、300万人くらい。掘り起こしたところで、大したデータではない。

リウなんか小物だし、放っておけばいいではないか。

党もずいぶん神経質になったもんだ。

だったら、海外のエリートを多く含み、1000万人以上の人口を擁する北京のデータの方が垂涎、おっと、俺もヤバイかな。

党が、元からあった戸籍制度に加えて、アメリカのNSAのようにしゃかりきになって集めているフローの情報を、どう使うかなんて、下っ端の知る処ではない。