どうでもいい

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Chinese Palestine10

 

どこかのハッカーが作った、タレコミサイトはよく出るが、当局に治安を乱すと判断されれば、すぐに潰される。

そのタレコミサイト自体が、わずかばかりの自由を装った、当局の情報収集の為のヤラセという噂も多い。

テロの現場と、N内の担当していたコンビニは、遠くない。
当時、コンビニに報道関係者が押し寄せ、在庫が足りないくらい売れた。


リウがヤバければすなわち、リウとつるんでいるH田もヤバイということ。

オルドスの資料を求めて役所をうろつく彼らに、「あんた、狙われてるよ」なんて忠告する人はいない。役所の人間は全員中央の犬だ。

何も好き好んでクビになったり、側溝に死体で捨てられたりする人はいない。


「彼は中国政府のデータ独占に反抗した、珍しい人間かもしれないが、最後の人間じゃない。リウみたいな奴は、次々と生まれる。

中国人は全員、良心の欠如した野蛮人ってわけじゃない。スラムを見て、心を痛める人がいる。

売買される文盲を見て、涙を流す人間がいるだろう。

巷間にも、役所にも、この党の中にも、必ず」

ハア、リアクションに困るだろ。そんな心優しい人間が、ここにいるか。

そうか?どちらかというと心優しい人間だから、ここにいると思ったよ。

こんな面倒な仕事にだよ。そうか?

 

「握りメシでも配っておけばいいじゃないですか」

「今日明日のメシがあっても、不満を持つ奴はいるよ。

自分は騙されているのではないか。自分のいるべき場所はスラムではないはずだ。そう考える手合いが」

「倒錯してませんか。小賢しい奴が外をウロついても、高い壁が築いてあれば、誰も入ってこないはずです。世界帝国、グーグルを追い払った金盾のように」

「で、リウは粛清しますか」

「放っておけよ。

芽の段階で潰したら、この芽がどういう草になり、樹木となるかが、分からない。

この手の犯行は、いつか、私たちの知らないところで発芽して、樹木になるかもしれない」

それをシュミレーションしよう、と彼は言った。

 

 

オルドスに中央から来客があった。

いつだって、中央のお偉いさんを出迎えるのは、面倒くさい作業だ。

市民や職員が歓迎に並び、花を用意し、茶を出し、何かご不満はありませんか、と顔色を窺う。

しかし彼らは接待も早々に辞退し、会議室に引きこもってしまった。幾人かの地元の上級職員を連れて。

「山猿が5匹に増えた。2匹は、私たちが北京に招いたパレスチナ人の博士さんだよ。

いわゆる良心の持ち主と言う奴だ。

彼らは政治のことなんか知らない。手元にある書類を見る限り、清廉潔白なタイプだよ。

あそこで集めているデータは正しく人民の為に使われると思っているし、党の汚職なんて、袖の下くらいのことだと思っている」

「党が公正でないことは、広く庶民に認識されてるよ。

それでも、経済的に上昇した人が多い、党は、その手腕を評価された」

「グーグルの情報侵略を食い止めたりか?」

「なるほど確かに、そのせいで中国には、クソみたいな情報しか流れていないが、国産のIT企業へ資源配分には成功した。

中央への資本の集中で、投資すべきジャンルを絞り、厳しい技術開発競争を生き抜いた。

だから、半導体太陽光発電パネルも、どこも資金不足で倒れていく中、最後に中国が生き残った」

党2は、この会議に退屈し、その辺のパレスチナッ娘でもナンパして、宿泊先に連れ込もうかと考えていた。

この肩書きの入った名刺。

それで、気に入ったら北京へ誘おう。俺が飼ってあげるから。パレスチナ人の愛人なんて、エギソッチックだ。同僚に自慢しよう。

2030年の、オルドスの人口は、300万人くらい。掘り起こしたところで、大したデータではない。

リウなんか小物だし、放っておけばいいではないか。

だったら、海外のエリートを多く含み、1000万人以上の人口を擁する北京のデータの方が垂涎、おっと、俺もヤバイかな。

党が、元からあった戸籍制度に加えて、アメリカのNSAのようにしゃかりきになって集めているフローの情報を、どう使うかなんて、下っ端の知る処ではない。