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1、このサイトは書き直し中で、文章崩れています

追々直すので少し待ってください。

Chinese Palestine15

 


「役所の民営化って何だよ。お前、リバタリアンってやつなのか」

「自己否定も極まれりだよ。さっさと官僚という矛盾した立場を返上して、好きなところへ行け」

高島の提案は、もちろん歓迎されない。霞が関日本猿の砦だ。

「何も警察や裁判所まで、民営化しろとは言ってません。

地方の役所のサービスの一部は、オルドスのコンビニの方が、上手く提供しています。

オルドスの役所と某コンビニの提携事業なんですけど」

リウがニッコリ笑って、持参のノートパソコンの画面を見せた。

収入などのデータに応じた借入限度額があり、クレジットカードとして使えるIDカードや、良く利用するサービスがストックされた偽アマゾンみたいなページとか。

が、霞が関で初見の中国人が歓迎されるわけがないし、

ビックデータ活用は中国の方が進んでいるから、遅れた霞が関住人に、その画面の意味が分かるわけがなかった。

喧嘩腰の会話はそのまま、リウの分からない日本語で進んだ。

「そうやって、中国に食われているのか。高島は、穴だらけの食いカスか。

あいつらは細菌だろう。まさかと思うようなことまで、平然と盗む。

海外の寿司チェーンから、新幹線まで」

「公営施設はどうしても、無駄な装備が多過ぎます。

どこから何を買っているのか、そのルートがいかに理不尽な過程でゴリ押しされたか、ご存じない人はいないでしょう。

中国には食われていないかもしれないが、似たような何かに食われているでしょう。何かはハッキリを申しませんが、どちらでも、同じです。

人々に憎まれるのは当たり前です。

そこをコストカットすれば、私たちの給料はそのままで済みます」

「最近の霞が関は柔軟だ。

MBAなんかの国費留学を止めた代わりに、インターンや、私費留学でのキャリアの中断を許すようになった。

しかしお前は、中国の山奥で、変な菌に感染してきたらしい」

「オルドスの実験成果を日本へ導入するので、逆ではありません。中国人が盗めるものは、ありません。

太古の昔みたいに、こっちが盗めばいいです。それで嘴を挟んで来たら、適当に追い払えばいい。

役所のコンビニ化なんて、大したシステムじゃありません。利便性を全面に押し出せば、役所のデータ活用は敵視されない。

ビックブラザーと誤解される、霞が関の閉鎖性も何とかしましょう。

コレはアメリカが席巻した、IT企業のように、日本の情報を全て吸い取られてしまうシステムじゃないんです。

地方の役所は既得権益層がうるさいでしょう。

大して稼ぐ努力もせず、地方助成金をクレクレと騒ぐだけです。IDカードを利用すれば、生活保護の不正受給を防げるとか。

大ナタを振るって下さい」

リウは退屈して部屋を見渡した。

俺のかつて働いていた場所と、大して変わらない光景、アジア人たち。

どの人も知的な顔をし、比較的大柄な人が多い。俺は中国の役人に命を狙われている。

が、アジアは未開国家だった。役人の習性なんて、似たようなものだ。

この霞が関というところは、俺を消すかもしれない。

イザとなったらアメリカかどこかへ亡命するしかない。リウは中央省庁時代に培った、アメリカの人脈を思い浮かべる。

欧米はビックデータ活用が進んでいるから、こんな初歩的なシステム自体、必要としていない。

ただリウの持っているオルドスのデータはオリジナルだ。

役所のデータは普通、部外者へ公開されない。

オルドスで商売をやりたい人に売れないだろうか。党から追放されたリウの、新しい故郷、オルドス。

ウイグル人パレスチナ人、都落ち漢人に、アメリカ人。賑やかでいい。


「ハイファは狙われてるの。側で監視しろって言われたよ。そのおかげでハイファに会えたからいいんだけど」

ユスラはアッサリ中央役人1を裏切った。ユスラは子供の頃から、ハイファの忠実なスパイだ。ただハイファほど頭が回らない。

少しばかり、見た目が派手なだけの、年子の妹。

「バーカ、ユスラは私にそれを、言わない方が良かったよ。こんなの、党に筒抜けだよ。

私は中央政府の資金でここへきて、研究者の見習いとして、いくつかの機密に触れているの。

私がマークされるのは当たり前だし、ユスラ。あなたもそうよ。

こうなったら私達は、中央役人1に聞かせるような話をするしかない。彼らが得をして、私たちを知恵袋として生かしておいておいても良いと思うような何かを」

ユスラは泣きそうになった。助けてくれた姉を、危険にさらしてしまった。スパイ失格だ。

どうしよう。清華大学や中国開発銀行で研究に邁進していたハイファが、マヌケな私みたいに変態に捕まって、ロクな目に合わないかもしれない。

「ストーカーしてるのは、中央役人1だけじゃないかもしれない。

ユスラを飼ってるのは中央役人1よ。だけど、私を追ってる人には他にもいると思う」

 

 

 

中国投資銀行インターンをしているハイファの話しはこういう感じだった。ユスラは必至で理解しようとした。

中国の各都市は、行政の入手した、DNAデータや体力、知能検査の結果などを、完全に匿名で、投資機関などを対象に、公開していた。

将来の都市の税収を予測する為の指標で、個人情報との紐付は禁止される。

DNAデータか。北京のテロリスト疑惑で、ユスラたちが取られたアレ。オスドスのパレスチナ人が、全員シロだったアレ。

冤罪を晴らす、悪くないツールかもしれない。それがユスラのイメージ。

都市の債権の収益率は、将来の税収を元にシュミレーションされる。

住人が払っている税金は、収益に応じてマチマチだ。100円から10億円まで。

このデータを公開するのは何故か。投資家は、その地方債の回収可能性を考慮して購入する。

一律に人口から税収を算定せず、住人の1人1人が、どれだけ稼いで、どれだけ都市へ金を落とすかを予測した。

そう。お金を沢山集めて成功する都市が勝ち、そうでない土地はお終いか。

ハイファとザーヒルという有能人材を、北京へ取られた、オルドスはどちらなのか。