グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

毒毒パワーランチ4

 


霞2たちの手元には白い紙があった。白い紙。

この霞が関で働いていると、なかなか回ってこない代物だった。

ここで回ってくる紙には必ず何かが書いてある。大抵、ビッシリ。

白紙なんか回したら、ソイツは頭が空っぽだと思われるだけだろう。

紙の隣には、各自のノートパソコンがあった。

 


「お前らが、これから書くのは、いわば、卒論だ。
優秀な卒論を書いた奴は、サルベージしてやる」

何を言ってるか分からない。

それに、オッサン、何でそんなにオラついてんのん?と誰もが思った。

霞2は壇上の彼が誰だったか覚えていないが、次官補佐とか、けっこう偉い人だったような記憶があった。

その彼が、何故こんなところで、竹刀を振り回しているのか。

アンダー橋の柄の悪さは、永田町の御膝元の霞ヶ関に伝染した。

庶民から隔絶した文化圏である霞が関では珍しい事だった。大きなカバンを背負って、山手線で四谷学院に通っていた頃から、竹刀を振り回す野蛮人なんか、彼らの周りに1人もいなかった。

彼らは、昔放映されていたアンダー橋の法律相談番組なんか、バカにしていた。仕事で忙しく、見たことの無い人がほとんどだ。

 

 

 

 

 


全く白紙の状態から、1人でレポートを書くのはキツイ。指導教官もいなければ、課題もない。

それはよく、小学生の作文などで出される、無茶振り、僕の夢、みたいな感じだ。

世の中を知らない小学生にとって、夢もクソも無い。

たまたま野球チームに入っていれば野球選手だし、たまたまニュースで宇宙船を見たら、宇宙飛行士だ。

それで、霞1は、隣の同僚をサウンド・ボードにするしかない。

「ベーアノミクスが終わりって言われても、分からないんだけど。何が終わりなんですか。

トランプがアベノミクスまで巻き上げて、トランポノミクスとかいう手柄にしたいんじゃないですか。

日経平均株価が10円とかになったら、失敗したと言われてもしょうがないけど」

「霞1さんは、ベーアノミクス支持派たったんですか」

「俺はリフレはどっちでもよかったけど、そう仕組めばそういう方向へ行くし、仕組まなければ行かない、くらいにしか思ってなかったよ」

「アンダー橋は、構造改革しかやらないじゃないですか」

構造改革マニアはしばき主義だとか陰口を叩かれていた。金を流さないで、しばくだけだ。ブラック企業というか、奴隷というか。

逆にアンチ・リフレ派は、金を流せばいいってもんじゃないだろう、っていうのが趣旨だった。

金が増えすぎてハイパー・インフレになってしまう。札が紙屑になる。ナチスの台頭の原因になった。

もちろん金を流すことの意味は、多くあった。日本なら円安にして、輸出を増やす。

「30年前なら、円圏構想とかできたじゃないですか。ドル覇権みたいなやつ。

金余りだったし、無駄な公共事業とか援助交際みたいな、つまらないことに浪費しないで済んだ」

「円圏構想なんて、マジで信じていた人いるの?

敗戦国民が、昔の戦地で、通貨発行主体ですみたいな顔できるはずがないだろ。

俺たち、現地で偽札撒いたとか、未だに悪口言われてるよ。食糧を現地調達したり、軍票を紙切れにして逃げたりしたし」

「でも、ユーロはマルクみたいに言われてるじゃん。ドイツは、ヨーロッパ中を軍靴で荒らしまわったよ」

「じゃあ、円天じゃないですか。沖縄の電子マネーだっけ?」

「円天は、成功する可能性とかあったのか?」
「さあ、マイナー過ぎてチェックしてないので知らないです」

 

 

 

 

追い出し部屋や、反省文は、そこに詰め込まれた社員たちを、キレさせるために存在した。

会社が社員を解雇する手続きは、色々面倒臭いから、社員が自主退職するのを待っているのだ。

日本経済斜陽の時期に、散々使われた手法だった。

「みなさんは、何が楽しくて生きてるんですか」

大部屋に通る声が響き渡った。

「大量の書類に埋もれて目が血走り、家に帰って寝るだけ。

たまに料亭で醜いオッサンの顔を拝み、どこの馬の骨ともしれない芸者の胸を触る」

広い部屋にシラっとした空気が流れた。

「リストラされる奴の捨て台詞としては、ふるってるな」