グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

人に見られたくない話はninjaid2000@gmail.com

R指定(仮)3

 「若い人にいくらかで譲って、二階で寝泊まりするか、安い公営住宅にでも引っ込めばいいじゃないか。ここにいたって、商店街の復興云々の名目で、補助金乞食をして、本業は大してはかどらない。

かつてはイモい婦人服を並べているだけで人が集まってきた。が、アパレルは洗練され、私らの生息領域は残っていない。

私らはもう年だし、盛り上がる商店の経営の仕方なんて、分からないよ」

「私らは、田舎を継ぐのが嫌で、もしくは次男坊、三男坊で、相続自体が不可能だったから、田舎から街へ出てきて根性を出した。

アメリカにある、ユダヤ人のパパママ・ストアとか、中華街の連中なんかと、変わらないよ。

そういうのも、大資本に押されて微妙だよ」

娘に海外に逃げられた商店主の夫妻。で、息子は都心の金融機関へ就職した。

ここに出戻ってくるのは、家を継ごうという志の高い人というより、つまり就職できなかった人々だ。

そういう行き倒れみたいな商工会議所と、外の空気を求める人々との対立とか、いろいろ面倒くさい。

とりあえず、娘のアカウントで、海外情報をチェック。

「もし人の流れが完全に郊外のショッピング・モール中心になってしまったら、お終いだろう。

交通機関が無い。車を止めるスペースがない。そうしたら、もう、地政学的に終了したということだ。

それは、役所で都市計画をしている連中に掛け合うしかない」

「最近、エリート・コース自体の激減で、正規就職のルートは消えつつあるし。

小さい店で、起業願望を持ってる人は多いよ。

人々は、本当はそっちの方がやりたいはずだよ。フランチャイズの安物屋で学んで起業なんていう甘言は多いが、そんな甘くない。

ああいうのは人材を使い倒し、24時間働く奴隷だけを幹部へ登用するシステムだよ」

「採算性が取れるかどうかが、分岐点だけど。感性の錆びかけた俺らがやるより、希望があると思うよ」

要するに、夫妻は、そういう感じのことを、公募のページに書いてみたりした。

人口減少に悩み、人集めをする役所の、ホームページなんか、外の人に、この地域に来ませんかっていうのが、基本だった。

例え地元愛の連中が、どんだけヨソモノが嫌いであっても、そういうのは押入れの中に隠しておく。

農村にしろ商店にしろ、表向きはどこもそうだった。だから、地雷を踏んで帰っていく人も少なくない。

 

打倒イオンモール、とはいえ、商店街に勝ち目がないことはハッキリしていた。

今のところ小銭を持つ老人を狙うくらいしか、ビジネスモデルがない。

理由は不明だが、イオンモールに老人の姿は少ない。

イオンモール居心地いいじゃん。1人でいっても、それなりに心が安らぐ。

ショッピングモールへの出店は、大企業しか不可能だった。テナントは、収益率が低いと、すぐに追い出される、激戦区だった。

一回くらい、商売をやってみたい人は多い。本気で、とまではいかなくても、経験の為に、でもいい。

カフェはありがちな夢だし、食べ物やチェーンは、人件費をゴリゴリ切ってしのぎを削る、アコギな商売が多い中、小さい商店街のモデルは、プチ起業志願者を惹きつけた。

一生、居つく根性がなくても、フローで人が来れば、経済圏は成り立つ。

だから、店を安価で譲れば、若い人は誘致できるけど、かつて一番儲かって集客効果の大きいかったのは、合法ドラックの店だった。

客サイドとしては、キツイ面があって、まず交通の便が悪かったら、アウト。

それから、いくら何でも、タベリにくるだけでは成り立たないし、何か1つくらい買わないと気まずい。

顔も覚えられるし、品数も限定されているから、よほど気に入ったリピート商品でもない限り、何度も来ようっていう感じではない。

イオンモールは何も買わずに見て回っても、誰も咎めない。

仮に毎日何も買わないで帰っていく客がいても、いちいちチェックして追い出す偏狭性はない。

今のところホームレスは来ないけど、それはタダで食べ物をくれないからだし、人でごった返しているから、寝る場所もない。