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1、このサイトは書き直し中で、文章崩れています

追々直すので少し待ってください。

IMF case2

 

南米に誘拐ビジネスは多い。

対象が律儀に赤信号で止まれば、恐喝か誘拐のチャンス。そいつは素人なことを示し、犯行のスキをくれた。

素人じゃない多くの車は、赤信号を飛ばす。

それらは、半ば公認されていたというか、当局は例えば、欧米のテロ対策ほど力を入れていなかった。

予算も技術もなかった。

南米の警察力は、しばしば、ゲリラ相手に苦戦するレベルだった。重火器を回収しろという声も上がらない。

人々は、頼りない警察に重火器を回収されるより、自分で自分の身を守った方が確実だった。


「我々は、EU加入の交渉の過程にある。EUの要人を狙うな。アメリカ、中国、日本、この辺りに絞れ。

協定破りをした奴は、コレだ」

マフィアの自宅を訪れた捜査官は、手でピストルの形を作り、自分の頭に向けた。

嘘つけや。EUサイドには、相手にされてない癖に。レオンシオは鼻で笑って捜査官を追い返したかったが、

商売の邪魔をされても癪なので、分かりました、と恭順姿勢を見せつつ、サッサと追い出した。

 

 

 

 

「来訪するFIFA会長を攫う?」

「したからといって、却ってEUに入れないことになるだろ」

「俺たちが正攻法で物事を通せた試しがあったか。

俺たちはいつも、サンバを踊り、サッカーで勝つことでしか、世界に認められなかった」

「攫うとか何とか、深い意味はない。とにかく注目されればいいんだよ。それで、EUの人々が興味を持つ。

殺すわけじゃない。金もとらない。

メディアの注目を浴びた後は、サッサと解放する。

サンバやサッカーと同じだ。奴らを楽しませれば、奴らは俺たちのことを気にする」

ドッキリにしてはタチが悪い。

返ってやり辛い相手だと思われて、EUの連中に嫌われるリスクが多いんじゃないかと、部下たちは思ったが、それはそれで楽しそうなイベントだ。

楽しそうなイベント。これほど南米人の血を騒がすことは無い。

 

 


FIFA会長は、放課後のサッカー教室や、スラムの子供たちが球を蹴る裏路地を、ボディーガードに囲まれて視察していた。

この辺の住人は、FIFAの会長ということの意味がよくわからない。

FIFA自体、知らない。サッカーしか知らない。サッカーは自分でやるか、テレビで見るだけ。

スーツ姿の人間を見るのも珍しかった。

始めのうち子供たちは、興味深そうに会長をチラチラ見ていた。

彼の側にドリブルでボールを転がしていく子供などが出始めた。

ヘタクソな誰かの球が、ボディーガードの顔に当たった。サングラスが落ちた。サングラスは、意外と優しい目をしていた。

子供たちは、ボディーガードの連中に球をぶつけ始めた。

大人たちは、オイオイ、と思ったが、このまま止めないでいるとどういうことになるだろう、という好奇心に勝てなかった。