どうでもいい

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IMF case3

予想外のハプニング。

ってほどでもない、彼にとっては。

FIFAの会長なんかやってたら、ロクなことはない。

ソレをロクなことに変えていくのが、こういう会長とかの仕事だろうって。

あの子供たちは、未来のスター・プレイヤーかもしれないが、

ソレでもメッシやロナウドのシュートではないから、ボールをぶつけられて、死ぬほど痛いってわけでもない。

有事に備えて、防弾チョッキとかも着てたしで。

 

横を歩く側近が、心配そうに彼を覗き込んでいた。

「彼らは、喜んでいたね。いいことだよ。子供の笑顔っていうのは」

会長のスーツには砂埃がいくつかついたが、払い落すのも感じが悪いので、車までそのまま歩いていった。

テレビカメラが追ってくる。

あのシーン、放映するつもりか。あんなの、南米の貧しい子供たちが、FIFAを知らないという単純な事実だし、彼らはふざけていただけだ。

面白い大人を見つけて、集団で調子に乗って、イジった。

 

だけど、あのシーンだけを取りだしたら、FIFAが子供たちから反感を買っているように見えるだろうと、側近は心配していた。マスコミってのはそういう連中なんだよ。どうするか。

スモークガラスのジープが道の両脇から出てきたのは、そのときだ。

 

 


「FIFAの会長を攫った」

手下たちが白人のオッサンを囲みながら、連れて来た。

ロレンシオはFIFAの会長を知らない。

長身のブラジル人、ロレンシオは今日も、日雇いの胡散臭い仕事に呼ばれただけだった。

ペイがいい。少し危ない。この2つの情報しかなかった。

で、目の前で縛られているのは、普通の大柄な白人のオッサンだ。

コイツがFIFAの会長だっていうんなら、そうなんだろう。

この辺りに、この手の、わけのわかんない仕事は多い。

「サッカーでも見ますか?」

FIFAの会長は、ボケたような目でレオンシオを見た。

エッ、何かマズイこといったか?

俺は、気を利かせただけだろ。

FIFAの会長なら、サッカーが好きだろ?

ロレンシオは、何だか寒気なのかシビレなのかよくわからない感覚を背筋に感じた。

手下の1人がテレビを付けた。

 

 

 

IMFの理事っていうのは、別に欧州の要人じゃ、ないぜ」

「ああいうのは全部、欧州の要人なんだよ」

「そいつは、過去の奴隷根性が染みつき過ぎってもんだよ。

IMFに2番目に金を出してるのは日本だし、三番目は中国かどこかだろう」

「日本ってどこだっけ?」

「欧州、欧州って、お前は、警察の脅しをマジに受けてるのか。

南米の警察に大したことはできない。彼らは、軍事政権の犬だったり、ゲリラに襲撃されて死んだりしてた」

ロレンシオの周りの連中は、そんな昔のこと、いちいち覚えてられるかよ。という顔をした。

ていうかソレ、大分古いだろ。スペインからピサロってのが南米にきたのは16世紀だ。

大戦後なら、米軍だろ。

そんなことが俺たちに何か、関係があるか?

それとも、小学校のテストを作ってるのか?

組織力じゃ奴らには勝てないよ。最近はコロンビアのゲリラも降伏したそうだし。

俺たちは大した組織じゃないだろう。連合とか作るのは性に合わないし」

「俺が言いたいのは、IMFの理事を攫おうっていうことだ」

南米は80、90年代にハイパーインフレに見舞われ、軒並み破たんした。

財政規律は大分改まったし、海外からの投資も進んだが、不安定な地域も多かった。

「で、嘘歴2000年、ボリビアやアルゼンチンの、国家の立て直しをどうしようかという話し合いに、IMFの理事が来ると言う話なんだよ」

インテリ・ヤクザてのかなっていう、小賢しそうな1人が、物知り顔で言った。

「来たけば、来れば」

「だから俺たちにソレが何の関係が」

「あるんだよ」

「具体的に言えよ」

「仕事とか、物価とかだろ」

「で?」