グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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IMF case5

 

 

「私は確かにFIFAの会長じゃない。南米の奴は、ザルだ。ただ、普通のビジネスマンが、あんな立派な車には乗らない。私はIMFの理事だよ」

ディーターは口から出まかせを言った。FIFAの会長でないことがバレたら、彼は俺を解放するだろう。

それはテレビに映ったピエロ野郎のせいでバレてしまったから、次の法螺が必要だった。

確かにディーターはFIFAの会長じゃなかった。そして、目の前のムラートの男が気に入っていた。

彼は、ただの大手企業の重役だ。やや警戒心が過剰で、要人と見まがうような装甲車に載って、ボディーガードを引き連れていた。

捕まった当初は、取引先との会合に遅れるので迷惑だと思った。が、こうなって見ると僥倖だ。

ディーターは、ロレンシオに縄を縛りなおして貰っている間、過剰反応しないように気を付けた。

彼の周りに、こういう奴はあまりいないし、ボディーガードは犬だった。彼が身の回りに置いているボディーガードは、周囲に変な趣味だと誤解されるから、全員白人だった。

それは彼の自意識過剰だ。

要人には、黒人をボディーガードにしている人もいれば、アラブ人もいるし、いろいろだ。

いずれにしろ、ボディーガードは犬で、自分を襲ったり縛ったりしない。

こういうマフィアの誘拐は、殺す為にやるのではない。身代金を取る為に、丁重に扱う。交渉の結果、身代金が取れないことが判明して、相手陣営への見せしめの為に殺すまでは。

どうせ交渉の為に連絡すれば、バレるんだけれど、

IMFの理事は、たしかボリビアへ出張していた。今朝、ニュース番組で見た。

バレる前に、ここを警察が襲い、ロレンシオが俺を抱えて逃げてくれないだろうか。

ディーターは、どうせ毎日仕事で忙しかった。たまにはこういう出来事も必要だ。

 

 


「今日も元気に水屋がボッてるぜ。兄さんも、天誅を加えてくれないかな。ベクシルってのか、あの会社。いくらなんでも水道水を敷かないってのは、極悪だよ」
「俺はIMF会長を攫った」
「何だって。ソイツは愉快だな。さすが俺の弟だよ。これは元はと言えばIMFのせいだ。俺たちが、緑の水を飲むハメになるのは」
「兄さんも、青カビの入った水がでるような地区に住んでないで、働きに出たらどうだ」
「お前が言うことかよ。俺みたいなヘタレにマフィアは向かない」
フアンはロレンシオに連絡する為に、貸し電話屋にガラゲーを借りていた。ロレンシオの方は、羽振りが良いからスマホを持っていて羨ましい限りだ。

「兄がプーで弟がマフィアじゃ、ママが可愛そうだ。ママはもっぱら、俺からの仕送りで暮らしてる」
「お前はマフィアを、いつまでやるんだよ」
「さあ、金が貯まるまでさ。ヨボヨボの爺さんになってもマフィアをやってるわけにはいかない」
「誘拐ってのは儲かるんだろう」
「俺たちはそういうのに手を出したことはない。
やるとしたら、だいたい脅しの為にやって、相手がチビッたら、そのまま開放する。今回のも、そうだよ。
マジで大金を要求したりすると、向こうもキレてきて銃撃戦になったり、面倒くさいからな」