グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

不動産屋2

 


部長にもまれて凝った肩を上げたり下げたりしながら、気落ちした気分を抱えて、持田は帰り道を歩いた。

クソ、何か俺の神聖さが汚された気がするな。

俺の神聖さって何なのかわからないが。

最近、世の中に拒否されているんではないかという現象が増えてきた。年を取ったのか。

1階の自分の部屋すらが白く冷たい光を放ち、俺は茫然とした。

なぜ明かりがついているのか?朝、出る前に、消し忘れたのだろうか。

帰ってきたら一日頑張った自分を自分で褒めてあげたい、そんなつもりで、灯りをつけて行ったのか。


しかしドアを開けてみると部屋は俺を拒否しているわけじゃなかった。っていうか、歓迎パーティー?

何コレ?なぜ人がいる?

リビングの電気がついていて、下をよく見ると、靴が3つ置いてあり、それが闖入者の存在を示す。

あー、強盗。金、ないんだけど、そんなに。

朝から晩まで働いている割には貯まらない。おまけに、離婚したばかりだし。

今年は、厄年なのだろうか。

会社の側でよくやってる、辻占いとかに見てもらおうかな。

その辻占いは、他にも通行人がいるのに、俺に狙いを定めて、あなたは厄相が出てきます、などと呼びかけてくる。

何か俺に恨みがあるのだと思っていたが、本当なのかもしれない。


恐る恐る中へ入り、探りを入れる俺の視線の先には、

野猿
ってことはないけど、高校生か。その辺で、見覚えが、あるような、無いような制服。
あんまりまともじゃないだろう。だって人の家に上がり込んでメシを食っているのだから。

俺がもう少し歩を進めて、リビングのフローリング部分に上がると、

自分の家なのにまるで不審者な俺と、俺に気付いた高校生たちの視線が、遭遇した。

「お……」

何を言うべきか分からない。

「ここ、俺の家なんですけど」
何故敬語なんだ。
でも何か怖いじゃん。他人の家に屯するのは、絶対、普通の人じゃないし。

ここは大人の威厳を持って追い払わねばいけない、

いや、とりあえず警察を。プロに対処してもらおう。俺は民間人だし、今、疲れてるし。

 

 

 

 


野猿は、メシを食いながら、相談を始めた。

「やべーなんか帰ってきちゃったよ、誰か、オッサンが」
「だからいったじゃん、ここ人住んでるって」
「住んでないとはいってないじゃん、俺ら、どうせほかに行くところないんだし」

行くところないって何だよ。どっか行け。

俺はテーブルを占拠する野猿に、念を送った。

女の猿が席を立つ。


俺の脇を、制服を着た女が通り過ぎて行って、

満員電車で女の近くに立った時みたいなシャンプーか何かの臭い広がって、

女は玄関のところで立ち止まって振り向くと、傘立てから俺の傘を取りだし、とがった先の方をこっちの方へ向けてきた。

何だよ。

俺は野猿の晩餐会になっているテーブルと、女子高生の仁王立ちする玄関を相互に見ながら、

携帯を握りしめて、テーブルでコンビニのサンドイッチらしきものを食べている男の猿に聞いてみた。

「通報して良いかな?」
「俺、ナイフとか持っちゃってますし」
「だから通報するっていってるじゃん」
「通報するよりオッサンが刺される方が早い」
「お前は刑務所とか行きたいの?未来とか勿体なくない?」
「いや、俺たち、あんまり未来とかないですし」

野猿とのコミュニケーションは、やっぱり上手くいかない。俺だって、人あしらいが上手い方じゃないし。

「いやいや、未来とか、すごく、あると思うよ。
刺すとかやめて欲しい」

「じゃあ通報しない?」
「出てって欲しいんだけど」
「一晩だけ泊めて下さい」

「じゃあ、明日出て行って」

いいのか。でも眠いし早く眠りたい。それに俺死にたくないし。

俺は野猿の占拠したリビングを放置したまま、寝室に入ってドアを閉めた。寝よう。

 

 

 

 

持田は何日か、忙しくて、彼らと交渉するチャンスを逃した。

警察に通報しても、対応が面倒臭い。休みの日とか、暇なときにしよう。

テーブルの下や台所やトイレの前で寝ないように、と置き紙をしたら、

次の日から、俺の寝室に侵入してきて、夜遅くに帰宅すると、猿は床で寒国のセイウチみたいに寝ていた。

ベットにたどり着くまで、よけて歩くのが面倒臭く、ますます邪魔に思える。