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1、このサイトは書き直し中で、文章崩れています

追々直すので少し待ってください。

不動産屋5

 

 

ヤマンはある日、2人をストーカーするのに飽きたらず、俺に電車の中までついてきた。

通学するサエコの方についていくことはよくあったが、俺の後をついてきたのは初めてだ。

何だこいつは。社会科見学にでもくるつもりか。

社長、僕を雇って下さい。

取らないことは無いかもしれないけど。

募集要項に学歴不問と書いてあったかどうかは覚えてないが、この会社は、営業成績がよければ、誰でも取る。

親に捨てられた可哀想な高校生が、不動産を売れるなら、それもありかもしれない。彼は俺よりイケメンだし、と俺は思う。

かといって不動産は縁起物だし、それはそれで、かなり不吉が予感も漂うかもしれない。


「オッサンは、サエコに気があるの?」
「ねーだろ」
サエコは可愛いじゃん」
「そんなのじゃ、まるで、お前らが出張デリヘルみたいだし」

高校生相手に、下ネタが出てしまい、俺は慌てた。心が荒んでいると、いきおい口から出るセリフもすさむ。

「っていうか、人の家に、押し入ってくる若い子っていうと、そういう人しかいないの。お前らは非常識なんだよ。あり得ないくらい」
ヤマンはきょとんとしていた。
デリヘルって何だっけ、っていう顔。
俺は自己嫌悪に陥った。
「だから、そういうのは嫌なんだよ。お前らはデリヘルの従業員じゃない。ただの貧乏人だから。だから、そういうのは抜きでいたい」

「でも奥さんと別れて寂しいんでしょ」
「俺はそんな変態じゃない。女子高生なんか興味ない、オッサンだし」

「でもサエコは、オッサンのこと、好きだよ。多分」
「何で?サエコさんがそう言ったのか?」
「別に。見てれば分かるから」
「それは妄想なんでないの?」
「俺はサエコのことが好きだから。だから、俺は見てれば分かるんだよ」

 


俺は帰宅してから布団に入るまでの短い時間、サエコと2人きりになることがあった。
ヤマンがアルバイトに行っている時間帯だ。

「このCDいいね」
「勝手に聞いてるのかよ。許可を取れ」
「じゃあ今取る」

「何度も言ってるけど、人の私物かってに漁らないで。ヤマンもサエコさんも、まるで泥棒だよ、人の家は占拠するし」
「CDは聞いても減らないじゃん。音楽はみんなのものだよ」
「昔の音楽だし、サエコさんには分からないよ」
「そんなことないよ。私はこれ気にいった」

「フーン」

「オッサン、趣味悪くないじゃん」
「若いからって偉そうにするのやめて」
「オッサンはドブネズミみたいに美しくなりたいの?」
「CDの中身を要約しないで」

サエコは距離を詰めてきて、1の側に座った。

サエコは、オッサンのこと好きだよ」

ヤマンの言葉がよみがえる。止めて欲しい。

何故こんなことになった?

ヤマンはいつになったら、この部屋を出るだけの金を貯める?

俺は高校生とつきあう気は毛頭ないけれど、

サエコのショートパンツとTシャツから出ている手足や体の丸みは、大人と変わらない。

そういうのって動揺する。

俺はサエコのそばを離れて自分の寝室へ入ると、ドアを閉めて鍵を掛けた。

 

 

 

「不味くないよ」

「美味いんじゃないの」

彼らは八宝菜を食べていた。

俺もヤマンも、料理の味とか、細かいことは良くわからなかった。

彼らは、吉野家100円マックの常連だった。

吹きだすほど不味くなければ、とりあえず美味いの部類に入る。

とくに、作った人が目の前にいるときは。

サエコは、自分だけが働かないで通学していることに、気後れしていた。

昔から、あまり勉強していなかったヤマンには、奨学金が出ない。

本当なら、成績優秀で、家族と幸せな食卓を囲っていたはずのサエコだが、

彼女の実家は、父親の新しい愛人が占拠し、帰る場所はなかった。