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1、このサイトは書き直し中で、文章崩れています

追々直すので少し待ってください。

不動産屋6


「20人が激白、派遣社員の財布の中身」

持田は、寝室のドアに鍵を掛けて、ベットの上でゴロゴロしていた。

コンビニで買ったオッサン向けのくだらない雑誌だが、

クビになりかけているサラリーマンの持田には、それなりに参考になることも書いてあった。ただ、本当のことかどうかは分からないけど。

読者の気を引くために、盛ってあるだけかもしれない。

ヤマンのいないこの時間帯、サエコのそばにいるのが、気づまりだ。

最近干してないので、布団が埃臭い。

それからやることがなくなって、

ベットサイドに無造作に置いてあった給与明細とか捨て損ねたレシートを眺めた。

ドアをノックする音がした。

「何?」

「開けてよ」

俺は、かろうじてサエコの顔が見えるくらいの幅を開けた。

「何だよ。金貸して欲しいとか?」

「違うもん。すぐそういうこと言わないで。俺、金もってるアピール」

「してねーよ。お前よりは、持ってるかもしれないけど。

俺は本当に、サエコさんさんが、金に困ってるのかもしれないと思っただけだよ」

「持田さんは、奥さんも彼女もいないんでしょ」

「いねーよ。見ればわかるだろ」

「じゃあサエコとつきあって」

「あのね、今度そういうことを言ったら、出てってもらうから」

サエコは茫然と俺を見つめ、それから、その目から涙がこぼれた。

俺の脳内に、呪いのテーマが響いた。女に気が使えない奴。女に気が使えない奴は、営業もできない。

だから俺は妻と息子に逃げられるのだ。

サエコはすぐに身をひるがえし、玄関を開けて出て行ってしまった。

俺は狼狽した。

このまま彼女が帰ってこなかったらどうしよう。

サエコが自宅に帰って、親にこっぴどく殴られて、どこかで遺体になっていたらどうしよう。

 

 

サエコは3日くらい帰ってこなかった。

俺はヤマンに、話の真ん中を飛ばして、彼女が出て行ったことだけを話した。

金貸そうか?と言ったら、気を悪くして、出て行ってしまったのだと。

「オッサン、何かひどい事言わなかった?」

「だから金貸そうか?って言ったら怒った。お前と同じじゃん。金持ってないと指摘されるとキレる」

ヤマンは疑わしい顔で俺を眺めた。

「俺は仕事が休めないから、サエコさんさんが、誰かに殴られてないかとか、変な目に合ってないか、探してほしいんだけど」

「別にオッサンに頼まれなくても、俺はそうするから」

「バイトとかどうする」

「しょうがないから、休むよ。親が死んだとかいって。本当にどこかで死んでるかもしれないけど。あのアル中親父」

 

 

ヤマンとサエコは、翌日帰ってきた。手をつないで。でも目を合わせていなかった。

持田は、これを機に、そろそろ出て行ってほしいと告げることに決めて、そうした。

「え、俺、まだ金貯めてない。10万くらいしか貯まってないよ。敷金礼金とか入れたら無理だよ」

「じゃあ、貸すから」

「いや、そんなの悪いし」

「俺が貸すから良いって言ってるじゃん。何だったら敷金礼金は上げるから、とにかく出て行ってほしい」

しばらく、部屋を沈黙が支配した。ヤマンとサエコが目くばせしあった。

「ヤマン、オッサンに何かした?」

「逆だろ。サエコがオッサンを誘うから悪いだろ」

「そんなの大したことじゃないじゃん。断られたから、もういいよ」

「オッサン、気まずそうにしてるもん」

「ヤマンには関係ないじゃん」

「関係ないけど、どうせなら同じ学校の奴とかにしろよ。何でオッサンなんだよ」

「勝手に決めないで。ヤマンは親に似て暴力男で支配的なんだよ」

ヤマンはサエコを平手で打とうとして、持田に止められた。何故そんなことを言われなくてはいけない?

何で俺が親父みたいになるんだ?子供を殴って妻を蹴り、酒に溺れる親父。

俺がサエコを殴ったことを、一度でもあったか?サエコ以外の女だって殴ったことは無い。

何故好きな女に、そんなことを言われなくてはいけないのか。

失敗家庭のお前はどうせ、ロクなものにならない。

そういう呪詛を吐いてくるロクでなしの集団と、サエコは同じなのか。

「暴力沙汰を起こすなら、出てってもらうから」

「暴力沙汰を起こさなかったら出ていかなくてもいいの?」

「じゃあ、50万貯めたら出ていって」

50万。5か月くらいあれば貯まるだろうか。持田は計算した。5か月なら、大したことない。俺はもう自分のペースを乱されたくない。