グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

原発難民だよ、全員集合1

 

嘘歴1990年、F島第一原発

施設の見学者や、東電の幹部が、燃料プールにボールペンを落とした時に代わりに入って取ってくると、1000万貰えるとか、現場の噂は多い。

燃料プールはただの水だが、中に燃料棒が入っている。燃料棒は、水の中で青く光っている。

その、青い光を見たものは死ぬ、とか、そういう噂だ。

 

「この前、俺の家に、東電の人来たよ。
俺は饅頭とか買い行かされて、疲れた。ファミコンやってたのに」
「マッキーは、頭良いもんね。スカウトされたの?ファミコン一緒にやった?」

牧原はつい自慢したが、逆に知らないことを聞かれて困った。
こういうときはシナリオ通り、頭が良いってフリをしなくちゃいけない。


「違う、スカウトはされない。父さんが、何か政治運動とかしてるのかも。俺は知らない。
東電の人に、ファミコンやろうって言ったら、母さんにリセットされた。マリオの8面だったのに」

「8面は、1面から土管で行けるじゃん。全然、スゴクナイ」
「笠井は、大人になったら、あの中に入るの?」
「だってそれが一番カタいから。俺、頭良くないし。俺も昨日、マッキーの家に、饅頭持っていけばよかった」

牧原は、いつも笠井の宿題を半分くらいやっていた。
その代り、体の大きな同級生に絡まれたら、かばって貰った。

牧原は本当は、代わりに三沢の宿題を一緒にやりたいんだが、彼女は宿題代行を頼んでこない。

「じゃあ私も入ろうかな」

「女は入れないよ」
「そうなの?私は入れるって聞いたけど」
「あの、土産物屋とかスナックとかやればいいじゃん。作業員向けの。
原発は、危ないものがいっぱいあるし。入らないほうが良いよ」
「じゃあ何で笠井は入るの?危険の臭いに惹かれるから?」
「わかんない。他に仕事がないからじゃない」

笠井は三沢の疑問に、適当な答えを返した。

分からないときは適当に行動するのが彼の習慣だ。

東電の人はみんなテストで100点なのかな、マッキーみたいに。土管使わなくても8面に行けるよ」
「面接官を英語で論破すると、入れるとか。俺、知らないけど。でも、原発反対って言ったら入れないよ。
あそこの八百屋のオッサンみたいに」
「英語で言えばバレないんじゃないの?」
「ノーモア・ヒロシマとか?バレるだろ」
「八百屋のオッサンは、何で原発反対してんの。店の前に、炉心融解の恐怖とかいうポスター張ってあるよね。野菜売れないでしょ」
「さあ?左翼だからじゃない?左翼って何だっけ。ところで、今日は誰がゲート越えする?」


原発は、牧原たちにとって謎の施設だった。

眉を顰める大人もいれば、アレが自分たちの街を支えているという大人もいた。

中に入って真相を確かめようというインディー・ジョーンズみたいな作戦もあったが、警備が厳しくて出来なかった。聖杯を手に入れろ。

何もすることが無い日に、原発の敷地の前を通ると、誰かが警備員にタッチして帰ってきて、勇者として友達のお菓子を貰ったり、

誰も見ていないところから、原発の敷地内にBB弾を打ち込んだりした。

 

 

 

 

嘘歴2011年。

「何かマニュアルっていうか、

事故時の対応とか記したものがあったら、見せてもらいたいんですけど。

僕たちもこういうの、初めてで」

「無いよ。そんなのは。建屋から、煙が上がってる。事態は、見たままだから、適当にやって下さい」

「私たちも、隊員の命が掛かっているので、状況を把握しておきたいんですけど」

「そっちが行かないなら、下請けに行かせますよ」

同僚がイライラしているので、笠井は顔を顰めた。

笠井も、鼻くそはほじっていなかった。

単にピリピリしているだけだった。気持ちは分かる。

自衛隊受入れってどうなの。アメリカも友軍を入れてくるし。

上は責任を投げているし、現場で判断できることを超えていた。

が、ネットには鼻くそをほじっていたとか、いろいろ書かれていた。

下請けに行かせますよとか言ったのは笠井ではないのに、ニュース映像では笠井の写真が使われていた。

笠井と牧原は、地元で再会し、居酒屋で飲んだ。

「俺は鼻クソってあだ名ついたらしい。ネットで」

「クビなのか?」
「全然、俺は非難の矢面に立ったから、そんなに立場悪くないよ。

でもあまりクレームがひどければクビだって」

「笠井は、その現場、15年くらいやってるよね」

「マッキーは、研究とか、どうなの」

彼らは原発の街に生まれ、大人になっても、原発を生業にした。

「事故のせいで、新入生とか、ほとんど入ってこないよ。

今の子たちも、違う学部に鞍替えしようとか、ゴタゴタしてる」