どうでもいい

言及先、リンク先と私には関係がありません。 結果的に関係が生じても責任を持ちませんが、そこまで影響力がないんで気にしないで下さい。

ウチナンチュ2

2人は出稼ぎには安くない旅行料金を払ってここへ来た。

「俺たち、福島から来たっていうと差別されると思う?」

べつにされないんでないの。

暑いな。

ソリャ、暑いだろ。

だからアロハシャツとか買ったんだろ。

記事は、O長は水色で、K島は赤だ。

「生地もクソもあるかよ、柄が多過ぎて、何色か分からないのがアロハシャツなんだよ」

ココが沖縄とかいう以前に、俺たちが出稼ぎして差別されたことなんかあったか?

民度だよ。

地元がオシャカになって出稼ぎに来た人に、そんな悪意のある言葉を吐く連中はあまりいない。

「はずだ」

「ソレは東京だって被爆圏内とか言われて、半分以上の住人が、マスクをつけて、死んだような眼をして、歩いていたからだよ。一年くらい」

例えば、日本中の田舎者が羨む、オシャレなストリートを。繁華街を。

ネオンサインも半分以上、消えていた。

 

シーザーは触りたくなるオーラを出していた。運が上がりそう。何の運かは不明だ。女運か、金運か。

「海も青ければ空も青い」

「ブルー・オーシャンかよ。福島の空は灰色かよ」

福島第一原子力発電所は、粉塵を巻き上げたでもないから、地元だって晴れた日がないことはない。

たまに雨が降った後に虹が見えないこともない。

「なら沖縄の空と、福島の空は、どう違うの」

「気象学者に聞けよ」

吹き上がったのは、何だったんだろう、水素?

 

いかにも廃墟でございってところに、平穏が保たれていることは少ないんだろうか。

そうでもないだろ、貧しい寒村とか?

逆に。

こういう抜けるような青空の元で。

「だがこの海は、沖縄人の血に染まったことがあるよ。雪崩れ込む日本軍に、米軍。グアムやサイパンと同じだ。それを見たら、きっと悲しくなる、俺はまだ沖縄戦の資料館とかに行く心の準備は出来ないよ」

O長たちは、トドみたいに寝ていてた。だってソコに砂浜があったから。

K島は座り込み、砂の中から、貝を見つけようと試みていた。

 

俺たち、人のいないスペースとか見つけるの上手いよね。

こういうの、観光客とかでゴッタ替えしてるのが普通でないのん。

昔の不発弾が埋まってるとか、ヤバイ、スペースに入り込んだんだよ。多分、

きっと人ごみが鬱陶しいから、観光スポットとか書いてないところを歩いてきたから。

 

「そう、グアムに来たのと同じだよ」

「じゃあ米軍基地でも見に行く?」

「今日はデモやってるのか。官製ヤクザとか土人とか怒鳴りあってるの」

プロ市民は、311後の福島に欠かせない風物詩になった。一方、福1原発周辺は怖い人が囲んでいた。

「そんなの、ユーチューブで見れるじゃん。見に行ったって面白いことないよ。

一方的に主張をまくしたてる活動家しかいない。

聞き込みしたって、いいことない。

だから新聞にはゲバったとかゲバらないとかしか、書いてないんだよ」

放射能が何ベクレルとか、誰が何の根拠を以て、何を言ってるのか分からない」

 一応、生きてるからいいんでないの。

本気で俺たちの体に、何ベクレル溜まってるか調べるなら、人体解剖とかするしかないんだよ。

そうなのか。

ガイガー・カウンターを近づけると、出てくるんでないの。

逆に人体解剖なんてしたって、分からないよ、目に見えないんだから。

そうなのか。

 

砂浜から上がった2人は、安コテージで変なサワーを飲んでいた。

「コレのベースは日本酒じゃなくて、泡盛なん」

「知るか。聞いてみれば」

「あの店員さん、美人すぎない。ナンパしてるとかウザイ目で見られたらどうすんの」

「そうだね、俺たち長居するつもりだからね、多分。ヨソモノだし」

「彼らはヨソモノなんか、慣れてるに決まってるだろ」

「長居するヨソモノもか?」

「座り込みとか?俺たち、そこまで長居はしないだろ」

彼らは酒が高級かどうかの基準が、わからない、酒なんか、つぼ八とかでしか飲んだことが無い。

つぼ八より美味いだろ、多分。

こういう亜熱帯で、酒を飲むって珍しくない?

酒臭い学生とかサラリーマンに囲まれるんじゃなくて。

仮設住宅で酒を飲んでいる人は多い。

そういう差し入れも無いことは無い。

 

「俺は広島より沖縄の方が、スピリッツを感じるんだけど」

「スピリッツって何だよ。スピッツか?」

「広島は福島と似ていないことはない」

「どこが?」

あんなのはブルドーザーにかけてサッサと普通の街にしないといけない。

住人のほとんどが被爆者だ。

原爆の爪痕なんか、いつまでも残っていては神経に悪い。いちいち発狂していたら仕事にならない。

だから資料館とかに詰め込んでおいて、普通の街にしたほうがいいんじゃないかって。

「どっちだって同じだろ。お前は、悲惨な他人を見ると満足する性質か?」

「原爆は駄目だろ。沖縄は、抵抗すれば何とかなった気がする」

だから核で一緒にくくるなよ。

原発がドカーンってなっただけなのと、大量の人が死んだのは違うんだよ。

 

「抵抗したって無駄なんだって、遺跡とか巡ってくればいいよ。

何しろココは沖縄なんだし。

原爆一発か、長くかけて占領されるかの違いだろ」
「そういう会話、左翼と勘違いされるから、止めた方がいいだろ」

 

福島はブルドーザーにかけられないから、スッキリしないんだろ。

そうなのか。

原発、いいの悪いの、ハッキリいっとけ。って。

「俺が左翼だったら補助金下さいとかいって、福島で寝てるよ。たまにカメラの前で鼻血出したり」

「鼻血ってどうやって出すの?」
「エロ本でも読めば?」
「出ないだろ。出たことないし」
「醤油とか飲めば?」
「血圧が上がるだけだから。死ぬし」

「沖縄はスピリッツ感じるの?」
「エッ」

2人は、隣のテーブルの人に話しかけられた。

「ソレ、シーザーとか見て、誤魔化されてるだけじゃないですか。アロハとか着てテンションあがってるだけじゃないですか」

「いえ、うちの地元と比べてってことで、ただの感想ッスから」

2人は狼狽した。沖縄の地元の人か。どうしよう、気に障ったのか。

少し酔っぱらって声がデカすぎたのか。

このアロハシャツがふざけているように見えたのか。

いやいや、普通のアロハだろ。

ココはハワイじゃないんだよ、沖縄だ。だってか?

旅行先でそそうはしたくない。

 

 

 

役人1は、靖国は頭のおかしいナチスの集まりだという、国際メディアの記事を見ていた。

地方役場のココは観光課ってことで、国際メディアをチェックするのが日課だ。

「軍人のコスプレくらい、どこだってやってるよ。サバゲー・オタクは、イーベイかどこかで、海外の軍服を買いこんでいるらしい。

俺だったら、日本軍にはこだわらない。

観光だったら、人民解放軍のコスプレもナチスのコスプレもおおいにOK」

「日本軍オタクに、リンチされるだろ」

観光課は、だいたい、他の過からは比較的、白い目で見られていた。

この役場だけではなく、どこもそうらしかった。

遊んでるだけじゃないですか。

目に見える実績とか、そうそうには出ない。

今日は書類を何枚、処理しましたって。

駄弁を吐く自由はたしかに多い。

「だけど、世界中の右翼は結局、アンチ・ユダヤで、ナチスが好きなんだよ」

「松岡外相じゃないんだよ。ソレ、片思いだから」

「負けても、当時のファッションこだわる自由だよ、あくまでフィクションで」

 

例えばニューズウィークとか、あとは、なんやようわからん海外の刊行雑誌、をどこから仕入れたのか、誰かがブックマークに入れてあった。

ソレをグーグル翻訳にかけたりして。

ソレらは、そんなに鼻につくって感じはしない。

ただ日本についての記事は、いろいろ誤解はされている。

それはそうだろう、日本から見たって、例えばインドにはスラムしかないとか、像が歩いてるとか、アフリカ人は鼻に骨を刺しているとか、誤解が多い。

だが、観光課はそういう誤解をいちいち解くのが仕事ではない。ある程度、外国人の誤解に便乗してあげる、というのが観光地の役割でもあったから、地元からは多少のグチもでようというものだ。

「だけど、ネオナチに好かれて何かいいこと、あんすか」

「ただの客なんだから、いいよ。

ネオナチが靖国に客としてくれたら、コレはありがたいよ。もう松岡みたいに、ドイツをストーカーしなくてすむし」

「日本人は白人と同類です、なんてカンチガイしちゃうバカが出るだろ」

「どっちなんだよ」