グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

ポリシー:ちきう上からポコラーを絶滅しよう。嫌がらせノー、駄目、絶対。

ガスミが席1


相手は卒業を控えた某オタク・サークルの後輩だった。4年生にもなって、まだ就職先が決まらないらしい。工学部の、軽い崖っぷち人種だ。

「エンジニアってウマイですか。

シリコンバレーとかじゃなくて、普通のです。中小のベンチャーじゃなくて、雇われです。官製プロジェクトとか、銀行のATM構築するみたのです」

「俺みたいな素人にも分かるウンコみたいなプロジェクトが降ってきて、黙ってこなす。そういうこところだよ。どこでも大して変わらないよ」

そのときだった。その安居酒屋の客が一斉に立ちあがって、エンジニアたちの席を指差してきたのは。

老いも若きも、というか、若い人が多い。女性もいたし、オッサンもいた。どうして俺たちを見るのか、その指差し確認は、何ですか。

エンジニア1は、翌朝起きても、それについての回答は全く出てこなかった。

何なんだアレ。後輩とはそれについて、何なのか確認する間も無く、終電を追って別れてしまった。

俺たちが、ひどく酔っ払っていたということにして処理するのが一番手っ取り早かった。

一斉に立ち上がった彼らが、酔っ払っていただけかもしれない。酒場は酔いに来るところだから、全員が酔っ払っているのは全く可笑しくない。合理的だ。

世の中、変な現象は多い。

帰宅途中で霊を見たとかいう奴もいるし、いちいち気にしていたら身が持たない。

 

 

 

 

「ガスミが席ってところで、ウザくない巨額プロジェクトがやれるらしい」

エンジニア1は、ガスミが席って何、とか聞くには酔い過ぎていた。霞が関のパクリか。

最近、日本一有名な就職エージェントのリクルートの釣り広告が面白工房カヤックだ。既に人々は、変な名前の会社があっても、いちいち驚かない。

「それ何の釣りなの。反社会性を炙り出すテストか」

エンジニア2の臭い酒の息は、ガスミが席以外にも、よくわからない酔っ払いの讒言のクソの山だった。

「お前は最新プロジェクトとか言われて嬉しいタイプなの。それとも型落ち仕事の方が、やりやすいタイプなの」

「だから、ウザくない巨額プロジェクトって何だよ。爆弾でも作るんじゃないのか」

本当に何か、ウザくない巨額プロジェクトって何か。

マイナンバーとか、いや、アレはウザいだろ。だがエンジニア1は、いちいち口に出すのが面倒臭かった。

エンジニアという人種は、頭は回るが、口は回らない。口の回転が、頭の回転について行かない。

だが、飲み終わった酒のコップにマドラーをいれてグルグル回しているエンジニア2の脳内で、爆弾と結び浮いついた単語は、以下だった。

「サムソンとか、ファーウェイなら、そんな姑息なことしなくてもエンジニアは集まるよ。日本のエンジニア自体、要らない」

「お前はネット右翼の掲示板でも見てるのか?変な文字列をいじってるだけのエンジニアの世界に、国境は無いだろ」

「どうでもいいけど、サムソンにエンジニアいるのかよ」

「何でもありそうだろ、サムソン。韓国の三菱みたいなやつだろ」

「前に韓国人留学生が、MITかどこかで銃を乱射しただろ。どこだったか忘れたけど、工学系の奴だよ。あれで韓国人枠ってゼロになったんじゃないのか」

「そんなことで枠がゼロになるかよ。インドとかに留学すりゃあいいじゃん。精華大学とかも世界の大学トップ50に入ってるし」

プログラマは、いちいち留学とかしなくても、インターネッツで漁って適当にパチってれば出来る世界じゃん」

「効率悪いだろ。最新の技術なんて、インターネッツの表通りに出てるのか。リナックスとか神話じゃないか」

日本のエンジニアはとても疲れた人種だと言われていた。酒など飲めることは稀だ。

一定期間、失業していたり、前の職場がクソ過ぎて止めたり、あんまり調子のよくない時期だ。

調子がよくても同僚とスシ詰めになっている時間が長すぎて、せっかくのオフに酒を飲みに行こうという相手なんかあまりいない。ソレって俺たちが仲がいいってことか。

酒の息の臭いコイツとか。