グローバル・ラノベと政治同人誌だよ。

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厚労省役人宅の子猫6


ハスミの友達は、恵まれていた。

私は彼女たちに負けてない。私は彼女たちが好きだ。

ここから落ちたくない。

だから家庭環境に負けて、落ちぶれて自分をダメにするのは嫌だった。

私は彼女たちに成績も顔も負けてない。同じラインに立ち、同じ人生を送れるはずだ。

こう考えるんだ。

お母さんは無理やり私を教団に引きずり込んだりしない。

お父さんは娘をレイプする鬼畜ではない。

彼らには彼らなりの、超えてはいけない良心があるんだって。

それが、泥水の中の小さな幸運なんだと。

最近、家があるだけマシだと感謝しそうなニュースは多い。

学生時代の奨学金が返せないブラック企業社員。

ひどい家庭から逃げ出してきて、売春や監禁の被害に会うティーン・エイジャー。

ハスミが世知辛い世の中に思いを馳せて歩いていると、道端で捨て猫を見た。

茶虎の子猫だ。少し中猫くらいになりかけてた。

それではなく、こっちへ寄ってきた。

うお、可愛すぎる、萌え。拾うしかない。

ウチは無理だが、誰かにあげるしかない。学校へ持っていこう。

 

 

 

学校への猫の持ち込みは禁止されていた、多分。この受験期に退学になったりしたら面倒臭い。

だからハスミは、放課後に友達と話し合った。

この中で飼えそうなのは、良子の家だ。だが、良子の家には、先住猫がいた。

ソイツは前にお母さんの友達が連れてきた猫に噛みついたり、あんまり協調性の無い奴だから、無理かも知れない、と。

 

 

 


掘はあのとき名刺を渡したが、女子高生に訪ねて来られるとは思っていなかった。何なの。

来客を告げられ、まるで援助交際をやったと勘違いされてそうで、怖い。

だから、少子化対策の参考にヒアリングしたんですよ、などと周辺に大声で言って回るハメに陥いった。

が、本当に何なの。

彼女たちは、イケメンには困って無さそうだし、官庁に興味は無さそうだ。

それにここへ入りたいなら、偏差値競争で勝ち抜くルートを取るしかないくらいは、知っているはず。

いくらなんでも日本に、霞が関に色仕掛けで入れると思っている人はいない。はずだ。

ただ女子高生の噂は、突拍子もないから、そういう噂が流れていたら、どうしよう。

これまで女子高生に流行った奇妙な現象のトップ5には入るだろう、援助交際は、優等生が一番やっていたという噂があった。

優等生は受験勉強漬けで、人との交流が無い。

社会人を釣って、そういうことを実地で学ぶしかない。

しかし、官庁に色仕掛けで入るって。それはあながち嘘ではないから怖い。

だって、厚生省の少子化対策をしているところで、多くの女子高生たちが憧れるような子育てモデルでも作ればどうか、っていう、どうしようもない企画は一応、出た。

全くの嘘とは言い切れない。

仮にあのスマートな女子高生たちに、私がそのモデルになってあげましょうか?とドヤ顔で言われたら、

一向に効かない案をこねくり回して、ムダ金を浪費しているここの職員は全員リストラ対象だ。そういうモデルを雇うことに現実味は、あった。

もちろん、何とかエージェンシーとか間に挟むに決まってるんだけど。

が、彼女たちの要件は、そんな妄想とは全く関係なかった。

「猫飼えませんか」

「ハア?何で?」

「拾ってしまったので」

「何で俺?」

「最近、手近で知り合った人の中で、一番安全な人だったんですよ」

その中の、背の一番高い子に、一番低い子が、付け加えた。

「私たちの家庭は、それなりに、修羅場なんです。

お兄さんは忙しくて、奥さんは寂しいんでしょ。育ちのいい奥さんが猫を可愛がってくれそうなイメージがあります」

不幸な家庭と、幸福な家庭かよ。

猫を預けたくならない彼女たちの家庭と、猫を預けたくなる自分の家庭か。

オイオイ、俺の家、意外とイケてるじゃん。

 

 

 

茶虎の中猫、誰にでも懐く性格みたいだった。

「職場の人に猫貰った。飼える?」

妻と2人の子供から上がる、想定内の、超カワイイ、などのリアクション、コレ普通でしょ。

暴力親がいるとか。怖い。スタバでダベっていた彼女たちは、そうは見えなかった。

彼女たちは、水中で足掻いている、優雅な白鳥なのか。

「俺だと思って可愛がって」

掘が軽口を叩くと、チャトランに向いていた目線が一転し、人が変わったみたいな白い目線が集中した。

だから止めろ、その目。

ハイハイ、俺だと思うと可愛くないんですね。分かりました。